446話 春の幻影part2
「ところで…怪我は大丈夫なの?」
「まぁ、私たちはどうにかなるよ…でも…」
「…あの傷ははっきり言って、死ぬよりも怖いわ」
彼女が言うところによると、涼音についた傷は切り刻まれたからと言って死ぬまでの傷にはならないそうだ。しかし、傷跡は深く消えにくい場所にあり、一生残る可能性もあるとのことだった。
「…ところでさ、結局飛翔と仲良くなりたいからあんなことをしたのか…それとも、飛翔を消したいからこんなことしてるのか…わからないよね」
「雪…それってどういう…」
「あー、それあーしたちが解説するんで」
「あれ?みーちゃんとしーちゃん…仕事は?」
「今終わったとこー…立ち話もアレだしあそこで一杯呑もうよー」
たまたま出会った人たち、向かった先は神楽阪のジュネーブ(名前募集中)だ。どうやら呑む場所がそこしかないみたいだからだ。
「…ひーくんが狙われてる話、知ってるよ」
「涼音が止める理由もわかる…まぁ、普通は気づかないけどねー」
「そうだよね…」
「だって、あの子…いや、飛翔を狙う人たちってみんなあーゆー顔してるんだよね…」
「あたかも自分が悪くないように、まるで自分が被害者かのようにふるまうのがね…」
「そこまで見抜いていたの!?」
「…あーしたちさ、飛翔の事すごく心配してたって話してたじゃない?してたよね!?」
「してない…」
「やっぱりしてなかったかぁ~!いやぁ、中学で私たちバラバラになっちゃったのよ!でも、そのあとも忘れられなかったんだよ~」
「みーちゃんもそうだったんだ!あーしも忘れられなかったけど!」
「だって…ひーくん、高校でも色々あったの知ってるから。ゆきぽんからじゃないよ…そうだね、小春って覚えてる?」
「…小春は来たんだよ。今は、記憶を取り戻しているんだ」
「え…嘘だよね…」
「元気で可愛くて優秀で…でも物静かだった小春ちゃん…どうして…」
「…自殺だよ」
「雪…怖いよ…」
「あの子は自殺だよ!…詳しいことはわからないけど自ら命を絶ったんだよ…春の幻影だよね?3月末の…桜の下で見たんだよ!飛翔もそうだよね!」
「…お酒の幻覚かと思ったんだけど…本物だったんだ…」
「8月の31日、私たち4人で病院に行こう。真音と京子は…」
「あ、その日夜見川の方で単位の取り方講座をやるんだよ~」
「わかった」
春の幻影は本物で、悲しい現実がそこにあった。しかし、無残にも時間だけが進んでいく。気づけば5月14日だった。
「飛翔さん、よく眠っておりましたね」
「結花さん…最近はごめんね…」
「構いませんわ。わたくしは帰ってきました…ところで絵梨さん、今から説教をしましょうか。今から陽が沈むまでずっと。逃がしませんよ」
「え…久々に帰ってきたのにこれはあんまりよ!」




