442話 もし願いが叶うなら
「私の名前は…大雲綾音…何よ。文句あるの?」
「やっぱりね。私の事を覚えてるでしょ?言うことを聞かなかった、“うざいブスね”は私よ。」
まさかの事態となったが、飛翔たちは動けなかった。次に動いたときには、あたりはどこか鉄臭くて鼻が壊れそうになっていた。赤い鮮血と肉片が広がる目の前で飛翔は祈っていた。もし死ぬのなら、今なのだろうかと察するように。
「…ねぇ、やめてよ…嘘だと言ってよ…」
悲鳴のような涙声が部屋に響いた。涼音は病院に行った。真音と京子は傷を作りながら怪物を止めた。
「…ごめん…間に合わなかった…」
「飛翔さ…嘘ですよね…」
「…飛翔さん、一緒に帰りましょう」
サーシャとさくらに付き添われながら家に帰った飛翔。しかし、校舎を出てから流れたのは、涙だった。
「目の前で…辛かったですね」
「…動けなかった。魔法陣が僕を動かさなかった…あの形は誰にも…少なくとも僕の知り合いには誰も解けない方法だった…動けるようになった時には血の海だった…」
「…大丈夫ですよ。ゆっくり行きましょう」
「うん…」
浜中大学の最寄り駅、加茂。改札から電車に乗って家に帰ろうとしたが、駅のホームに上がるコンコースで電話が鳴った。病院の医者からだった。
「すみません、至急○○病院まで来てもらってもいいですか?」
その電話を聞きつけて、その病院の最寄り駅の前まで来た。すると、見覚えのある顔がそこにいた。
「お久しぶりです。飛翔さん…話している暇はないので車に乗ってください。」
昔であった新聞記者が病院まで向かった。
「すみません、門脇です。神崎さんを連れてきました」
「ずいぶん早かったんだね。でも、ありがとう。実は警察の方も来ているんだ。みなさん、私についてきてください。」
医者の案内のもと、診察室ではなく事務室的な場所に連れていかれた。
「まず先に言っておきます。貴方たちが犯人ではないことはわかってます…ここでは殺人事件はおろか死ぬことさえできないと思われていたのですが…」
警察は涼音がどうなったかを教えてくれた。死んだとは一言も言ってないが、言葉の雰囲気や重みから察するに死んだと言ってもいいのかもしれない。悲しい現実のように思えるが、実際に起きてしまったのだから仕方がない。
「それだけではありません…真音さんと京子さんもかなりの重傷で…」
その言葉を聞いた途端、さくらは悲鳴のような叫び声を出した。サーシャと飛翔も震えていた。覚えただろう遥かなる怒りではなく、次は私だと思う恐怖で。
「…そんなことってありなんですか?ねぇ!ありなんですか!」
「落ち着いて…もいられません。はっきり言ってこれは異常です」
「とりあえず、宇出津さんの蘇生に関してはただいままどかさんを呼ぶので問題はありません…しかし…犯人は…」




