421話 勇者、ここに眠る
「何吐いてるのですか!」
「…吐いちゃダメだったの?」
「真冬…無理したからでしょ。」
「えっと…天使長、支部長二人、副部長三人、飛翔、結花、魅華子、そして…君の名前だけ聞いてないけど…」
「私、第2支部の東風谷紗千香と申します。昼間に紫乃さんと話していた者です。真礼さんは悪い人じゃないですけど…ちょっと怖いです。」
「何が怖いんだよ!」
「だって!紫乃さんは対人恐怖症なんですよ!」
「そうだったの!?」
「違いますけど。」
「なんなんだお前!」
「はい不適切~」
「夢月さん…もしかして二人は幼馴染?」
「そうらしいよ。残念だけどね。」
「残念って何だよ!」
「…ちなみに紫乃はヤンキーが怖いだけで、真礼は元ヤンだから仕方ないんだよね。」
「…みどり、それは本当か?」
「じゃあ悪魔にならなかった理由は?」
「ヤンキーって色々な形があるわけよ。例えば抗争に巻き込まれたり、喧嘩で運悪く死んじゃったりね…でも彼女の死因は違うよ。むしろ、ヤンキーだからできたのかもな。」
「どういうこと…?」
「簡単な話さ。私は親をかばって死んだんだ。そもそも私がそっちの道に進んだのも親への憧れだったんだよ。」
「真礼、詳しく話しなさい…」
「…そうだね。あれは私の最後の記憶だ。あの時は…もう既に怜と破局した後のことだ。私の両親は不良同士での結婚で…でも母は水商売で、父は土方として一生懸命稼いでいたのさ…まぁ、私の誇りだな。その2人を助けたいと思って…あと憧れてたから…だからヤンキーになった。夜はバイクで騒いで、街のチンピラとタイマン張ったこともあったな…でも、ある日親は囲まれていたんだよ。夜の街の馬鹿な学生たちに。私は戦った。親は救えたんだよ…ただ、ここで記憶が途切れてるんだ…」
「なるほどな。真礼はよく頑張った。頑張ったが…天使になってよかったのか?」
「初音さん、あなたが推薦したのでしょう?」
「…私は反対したんだけどね!初音がどうしてもというから!」
「初めて会った時にね、瞳が澄んでたんだよ。この子は天使になれると思ったんだよ。夢月に渡したのは…私よりも面倒見がよいと思ったからね。みどり、これで納得したでしょ?天使にも色々あるんだ。それをわかって欲しかった。みどりは支部長になって一番若いんだからね。」
「…そうですね…」
天使になる理由は様々だ。悪魔だって、神様だって、何だって理由はある。しかし、その人が幸せに生きること、それがこの世界では重要だ。
「ある世界では運命に抗ってでも…一秒でも長く生きようとするけど、それを意識するだけでは意味がないんだ。それなら死ぬ寸前まで楽しく幸せに生きていたい…そうは思わないかな?」
「それを天使たちが言うんですね。」
「まぁ、いいじゃないか。」




