419話 もう既に流行ってない真菰湯
「いやぁ…それにしても昼飯から豪勢だねぇ…」
「それは…廃棄の食材が多いからです!」
実のところ、みんなの広場はそこまで人が来ないわけではない。しかし、どうして食材の廃棄が多いのか、その理由は単純だ。先日の戦争の時に冷蔵庫の電源を落としたためだ。その時の食材を今ふるまっているということだ。この後トイレに駆け込む心配は…今は考えない方がいいだろう。少なくとも胃が強いことを祈るばかりだ。
「最近マコモ湯が流行っていると聞いたんだけど…」
「マコモ湯?ちゃんとお湯は変えてるの?」
「毎日変えてるけど…どうしたの?」
「実は…私の隣の住民、一年半もお湯を変えてないんだそうで。」
「…ちょっと待て。どうして食べてるときにそんな話になってるの。」
「あ、飛翔さん。初めましてですね。名前はみどりさんから聞いてます。」
「この子は小金井紫乃、第2支部の期待の若手…と言ってもみんな期待してるんだけどね。」
「真礼様…恥ずかしすぎます!」
「…また様付け…いい加減変えてって言ったじゃない。」
「こっちの方が言いやすいですもの!」
「小金井さんの隣の人は誰なの?千成ちゃんじゃないよね?」
「はい。この子は第1支部所属の…って、真冬はどうして把握してないの!」
「真礼は第1支部と第2支部のパイプ役だからね…でも本部の人とはあまり話さない印象だけど…」
「夢月様!?」
「…真礼がこれだから紫乃もこうなったのかもね。というか…第2支部は紫乃以外に誰がいるの…?」
「あと少しいますね。ちょうど佳奈と遥希の方にいますけど。」
「…飛翔、ちょっとおつまみ作ろうよ。」
「あ、はい。」
飛翔は台所で残った食材を調理する。手際良く捌く腕は、まるで料理人のようだった。料理人は完成したおつまみを机において、少しだけ休もうとした。
「飛翔さん、疲れましたね。」
「えぇ、疲れた。少しだけ休んだらまた動けるかも。」
「そうですか…久々にこうやって話しますね。ずっとすれ違ってばっかりで…わたくしを忘れてしまったのかと…そう思うと少し寂しく思いますわね。」
「結花さん…正直もっと一緒にいたかった…」
「飛翔さんが思う気持ち…痛いほどわかります。だからこそ…わたくしがもっとしっかりしないと…ですかね?」
「十分よくやってるよ。むしろ…やりすぎて僕が申し訳なくなるぐらいに。」
「いえ。飛翔さんのためなら…わたくしはどんな事だってしますわ…わたくしを救ってくれたあの日を忘れません。」
「…あの日って?」
「初音さんにはまだ話してなかったですわね。これはまだ転生する前のお話ですわ。」
「この話って長くなるのか…?」
「そうですね…でも、座談会は終わってこのあと夕飯ですよね?」
「そうだな…」
「それならお話しますわ。わたくしの昔ばなしを。」




