414話 脳内は朧げ
記憶喪失になった彼女と虚無感に襲われる彼ら誘拐された被害者たち。被害者たちのほとんどは彼女のことを考える人と関係なしに話す人の二極化していた。話さずにいた人もいたが、今は関係ない。
「私、彼女のこと知ってるかもしれない。」
「…沙恵?どういうことなの?」
「私…この声覚えてるんだよ。それも懐かしい記憶の中で。」
「…まさか!彼女のこと…見殺しにしたの!?」
「そんな物騒な話じゃないよ…でも、彼女の記憶を無くすには十分な話だよ。」
記憶をなくした彼女は…昔宗高大学に通っていたらしい。しかし、彼女は学校で孤独になりいつしか学校に来なくなっていた。そして、久々に会った時にはこうなっていたという。
「私のせいなんだろうね。私がもっとちゃんと彼女を見ていたら…自分を責めてもダメだよね。」
「もういいよ。自分を責めたって何も始まらないよ。」
「波音…そうだけどさ…もう…わからないんだよ…」
「わからない?どうして…どうしてなの…」
「私…彼女のSOSに気がつかなかったんだよ…その結果こうなって…」
「違う…これは私が決めたことなんだと思う…私の記憶が無くなる前に…きっと…きっとそう決めたんだよ…」
「…それなら教えて…君の名前を…」
「…わからない。私の名前…ねぇ…教えてよ…」
「ちょっと待って、この子わかるよ。」
「明日海!?」
「飛翔も前に会ってるよね?」
「…いつの話だ…わからないよ…」
「ここに来る数日前、あれはひな祭りの日だったよ!私、神楽阪でこの子と飛翔に会ったんだよ!」
遡ること数日前、クレアが家に帰った翌日だった。朝からひな祭りの祭事でニュースが盛り上がる中、飛翔は駅で声をかけられたと言う。その声の正体は3人、囲まれるように話していた時に明日海がちょうど止めに入った。飛翔は気づいていないフリをしていたが、この3人は飛翔を手に入れて魔王を倒そうとしていたのだ。
「…だからあの時…!吉乃、美景って子は知ってる?」
「百道さんね…学食部の後輩ですよ。あの子も私を邪険にしてたっけ。覚えてないわけないじゃないですか。」
「…これは相当怒ってるね。」
「梨穂、その通り。しかし、ここまでの怒りだとは思わなかったけど。」
「…何が目的なの?記憶を戻すだけにしてはやりすぎだと思わないの?」
「ちょっと真音…大きい声を出さないで。」
「…私の狙い、バレちゃったのかな?そうだよ。あーあ、記憶喪失のフリってとってもつらいんだね。あはは。私だよ?豊川沙恵。あんたの同級生で、あんたが見捨てた哀れな少女。」
「やっぱりそうだったのね…近永さん…」
「そうよ。やっぱり思い出してくれたんだね!ねぇ!思い出したことだしさ…私とお付き合いしましょう?」
「それは…」
「嫌がっている人にそれはよくないよ。」
「…誰?この女?」




