411話 ニコニコ笑顔で、卒論に愛を
3月10日9時45分、扉に映る見慣れた懐かしい影。
「ただいま帰ってきましたわ!」
「おかえりなさい!結花さん…ってどうして肌がつやつやなの!?」
「化粧水を変えたからでしょうか…やましいことではないでしょう?」
「てっきりほかの男と…」
「わたくしのゼミ…女性しかいないのですよ…それに遥希は佳奈に拘束されてましたもの。」
「今すぐ遥希を呼んでくれ!今日はお疲れ様会をしよう!」
「そうしたいのですが…卒業式が終わった後、わたくしは友達と打ち上げに行ってまして…遥希さんの姿を見てないのですよ。」
「それなら仕方がないね…ところで卒論は何を書いたの?」
「卒論ですか…それはそれは大変でしたわ…提出すればすぐにやり直し…させられていた人が隣にいたので困りました…」
「藤並君?それともさやかさん?」
「それが遥希なんですよ…飛翔はいいですね。卒論なんてなくていいですわね。」
「呼び捨てになってる…ってことは相当辛かったんだな…」
「わたくしは一回修正するぐらいで済みましたわ。昔書いた草稿が残っていたのでそれを参考にして…」
「ちょっと待って、前にも聞いたと思うけど…一回退学してるの?」
「正しくは休学です。お金が払えなくなってしまったのです…なんていつの日か言ってましたけど、実際は罪を着せられたのです…まぁ、この話はやめにしましょう。」
「そうですね…卒論の内容が気になってしまって集中できない…」
「言葉に出てますわ。卒論は…そうですわね。愛についてです。」
「愛?」
「恋愛の愛と家族や友達への愛の違いです。結局解明できて優秀論文として表彰されましたけど…昔より内容がより深くなったと思います。これも…飛翔さんのおかげですわ!」
「そうだったのか…ありがとう。でも…やっぱり寂しかったよね。電話すればよかったかな?」
「いえ、大丈夫です。それよりも飛翔さん…今後ここを天使の集会場として使うのですか?」
「…夢月さんか聞いたのね…そうだよ。勝手に決めてごめん。」
「それなら104号室を改装しますね。天使の語呂合わせです。」
「そしたら資材買ってくるよ。少し前にホームセンターを見つけてね…」
「もしかして…浄水公園の近くですか?」
「そうだけど…」
「…あそこはやめた方がいいと思います。飛翔さん、まさかあの子に会おうと思ってませんか?」
「心愛ちゃんのこと?」
「あ、その人じゃないです…七草粥のセットはロピアに売ってましたけど…そうじゃなくて、あの店は飛翔さんの命を狙ってます。」
「…それならやめようか。ところでどうしてそれを知ってるの?」
「最近浜大学長の風早さんが副業を始めて…その人の動画で知りました。」
「快斗さんをフォローしてたということか…ということは…あぁ…」




