405話 センチメンタルクトゥルフ
「え!?明日からしばらく外出るの?」
「そうなんです。今日は21日、卒業式は9日、それまでは仕入れの更新やゼミの旅行もあるので…また離れてしまいますね…大丈夫です。10日には帰ってきますので。」
2月22日、朝10時。結花は外に出た。飛翔と別れるのはやっぱり寂しそうだが、どうにか無事に帰ってきてほしい。
「あれ?千明さんは泊まってたの?」
「そうだよ~私は顔パスらしいからさ。」
「まぁ、ちゃんとお金を払うからいいんだけど…ところでその曲は?」
「あぁ、いい曲だよね…ところで女将がいない状態だとどうなるの?」
「休みですね。僕が経営できるとは思わないですもの。」
「確かに…でも、就職希望者がいるからさ…今度結花さんに話しておくね。」
千明はお金を払ってチェックアウトした。洗濯や掃除のメンテナンスの予定を確認した。しかし、飛翔の暇は終わらない。料理をしようにもアイデアが思いつかない。そうだ、どこか行こう。そう思い、寒空の中でバスを待っていた。
「このバスに乗ろう。」
バスは見知らぬ街へ向かう。乗ってくる客がいれば降りる客がいる。そして、気が付いたら西町のバスターミナルについた。そこからバスを乗り継ぎ、目的地に到着した。
「ようこそ。第二支部の本拠地へ。」
「あ…あれ?」
気が付いたら目的地に到着した。ここは…鶴川。森石と亀川の中間あたりの小さな町だ。特徴と言えば…何もない。
「何もない場所でごめんね~私たちの支部でも見ていく?」
「見て行こうかな…」
天使会第二支部、鶴川のバス停から少し歩いた先にある。
「…本部って今は移転したんだよね。」
「そうだね。梅野から今は神楽阪だね。」
「…夢月様、こちらに連れてまいりました。」
「あぁ…って飛翔じゃない!どうしてここに呼んだの!」
「単純です。この町を案内してほしいのですが。」
「あのね…ここね…何もない!」
「やっぱりそうなんだ。亀川のクトゥルフの養殖みたいな感じで特産でも大丈夫なんだけど…」
「クトゥルフの養殖!?確かにあれは美味しいけど…ってこの街じゃそうはならないんだよ…」
「それじゃあどうするんだよ…」
「…そうだ。本当に何もないけど…約束はしてもいいかな?」
「約束って何?」
「今度神楽阪に行きたい。みんなの天使会にしていきたい。そのために…いいかな?」
「3月は…27日ぐらいはどうでしょうか。初音さんにも連絡は取ってね。」
「わかってる。大丈夫だ。」
「第2支部って何人いるの?」
「5人かな。」
「第1支部も同じぐらいですよね…」
「…いやわからない。まぁ、今度神楽阪に行くからその時はよろしくお願いします。」
「はい。」
こうして鶴川を後にした。そして神楽阪に戻ると…ただの日常に戻っていった。一人ぼっちで少しだけ寂しかった。




