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第18話 「天才の本気」

突然だが、獣人の話をしよう。


獣人は生まれつき魔法への適性が低い。

まぁこれはファンタジーあるあるだな。


次に獣人の寿命は人間のおよそ1.5倍くらいだ。

人間が70歳生きるとしたら105歳まで生きる。

外見も老いるのが遅く、若い時代が長い。

サ○ヤ人みたいな感じだ。


そして最後に…獣人の身体能力は魔法への適性の低さの代償なのか、とても高い。

そう、人間の2倍以上は。



剣の修行を始めて1年。

俺は…



「っしゃー!!!ついに1本取ったぜー!!」


「ま、負けた…ついに負けちゃった…」


俺は…メイシア先生に勝った。


「はははは!どうだメイシア先生?

7歳児に負ける屈辱は!!」


「ぐぬぬぬぬ……悔しい。悔しいよアルスくん!なんで君そんなに上達が早いのさ!」


「最初に言ったろ。俺は天才だってな」


「まさかここまで天才だったなんて思わないよ…」


「まぁそう褒めるなよ。

先生の屈辱に染まった顔、綺麗だったぜ?」


「そ、そんなこと言われても嬉しくないんだからね!?

ていうかそれ褒めてるつもりなの!?」


「最上級の褒め言葉さ。

先生ほど屈辱的な顔が似合う人はいない!」


「全然褒められてる気がしないけど…アルスくんに言われると悪い気はしない、かな」


「先生ドMなのか?」


「ち、違うよ!変な勘違いしないで!?」


「ふーん。まぁ今はそれでいいけどな」


「今もこれからもドMじゃないよ!」


先生はこう言ってるが、1年を通して先生を見てきた俺が断定するが…メイシア先生は間違えなくドMだ。


さっきも屈辱の中に少し悦びが入っていたのを俺は見逃さなかった。


俺が成長したら…楽しみだぜ。


「じゃあ先生、約束通り耳触らせてくれよ」


剣で打ち合いをするたびに、いつの間にか俺が一本取ったら耳に触る。ということになっていた。


「…分かったよアルスくん。約束だもんね。

先生腹をくくるよ!」


「あぁ。くくってくれ。

そんじゃまぁ、遠慮なく」さわさわ


おぉ!これだこれ!1年ぶりの感触…?

この高級絨毯のような…?


…なぜだ。なぜか少し物足りないぞ!


これ、1回目の感動が凄すぎて期待値が高まりすぎてたパターンじゃねぇか!!

俺としたことがやっちまった…。


どうするかなぁ…今さら、先生!なんか物足りません!って言っても可哀想だしなー。


……そうだ!他にもっといいもんがあったじゃねぇか。


ぐいっ


「にゃんっ!」


ぐいぐいっ


おぉ〜!ふわふわだな!枕にしたら絶対気持ちいいだろこれ!


「ちょ、ちょっとアルスくん!?尻尾は本当にダメ!!」


「勝者に向かって口答えするなよ。

敗者は大人しく這いつくばってろ」ぐいっ


「にゃ、にゃん…。

…っは!ダメダメ!ダメったらダメー!

尻尾は、その…性感帯なのー!」


「へぇ〜」ニィ


俺は口角が上がるのを抑えられなかった。


ぐいぐいっ ぐいぐいっ


「にゃん!にゃ…んっ! にゃあああ!

や、やめてアルスくん…もうこれ以上は…」


「許してくださいアルス様。敗者が調子に乗ってごめんなさい。だ」


「ゆ、ゆるして…にゃん!ください…アル…にゃん!様。

はい…にゃん!が調子に乗ってごめんにゃなさい!!……最低鬼畜王子」ボソッ


狙ってるのかって思うくらい見事なところで喘ぐな。

あと、最後の聞こえてるからな?


「駄猫は躾がなってないなぁ。

もっと躾が必要か??」


「ご、ごめんにゃさいごめんにゃさい!

許してください!」涙目


「ふん。仕方ない。許してやるよ。

寛大な主人に感謝するんだぞ」


「…はい。ありがとうございます。ぐすっ」


いや〜、楽しいなこの主従ごっこ!

今日で先生とお別れってのが悔やまれるぜ!


「ひどいよアルスくんこんな仕打ち…先生のこと嫌いなの?」


「その逆だ。先生のことが好きだから意地悪しちゃうんだよ」


「そ、そうなの?ふーん。男の子ってそういうものなんだ…。

と、とにかくアルスくん!1年間お疲れ様!

結局ナルシストは治せなかったけど、アルスくんは優しいとこもあるってこの1年で分かったよ!

女の子は泣かせちゃダメだからね?」


照れたの誤魔化したな。


「ナルシストじゃない。俺はいつも事実を言ってるだけだ。

悪い涙は流させないと約束しよう。

もうお別れっぽいこと言ってるが、俺の修行が終わったら本当にすぐ帰るんだな」


「うん。本当はもっとかかると思ってたけどアルスくんが天才だったからすぐ終わっちゃった。

1度言ったと思うけどうち貧乏なんだ。

だから早く稼いだお金持って行ってあげたいの!」


「そうだったな。

尻尾も触らせてもらったし、父さんに頼んで給料増やしといてやるよ」


「アルスくん…うん!ありがとう」キラキラ


(アルスくんごく稀に優しい時あるからなぁ。

このイケメンフェイスにそれは正直ズルいよね。

アルスくんを好きになっちゃった女の子は大変だろうなー)


「じゃあ私、帰るね。

国王様にお給料もらいに行くけど、アルスくんは来ないでね?なんだか恥ずかしいから…

じゃあね、アルスくん。また会おうね!」


「あぁ、先生。今度会った時はもっと刺激的なことしようなー!」


「う、うるさいよアルスくん//」


そうして先生は去っていった。



(行っちまったか。寂しくなるなぁ。

まぁ、また会えるだろ、多分)


ふぅ…。それにしても今日はさすがに疲れた。

めちゃくちゃ集中しないとメイシア先生に勝てなかったからな。


だが俺は…ついに剣術も身につけてしまったわけか。


お忍びに行くと言ってから2年…。

ようやく実行に移せそうだ。


あー、でもその前にそろそろクレアやソフィが来る時期か。


あいつら去年は用事があって来れなかったんだよな。

だから会うのは5歳半くらいの時にあったきりだから約2年ぶりだ。


あいつら成長してるかなぁ…。


日本でいうと幼稚園を卒業して小学生に入ったばかりって感じの年頃か。


俺は女じゃないから分からないが、そんな急に変わるもんじゃないよな?


とりあえずあいつらが来るまではゆっくりしとくかー。

あいつらが帰ったら絶対お忍びに行く!!


「アルス様〜!」たたたた


ミラの声だ。

あいつ、ここ1年で結構成長したな…。

割と揺れてるぞ。


「アルス様!剣のご修行お疲れ様です!

1年で達人に勝ってしまわれるなんてさすがはアルス様です!

私、久しぶりに尊敬しました!」


「ちょっと待て、なんで久しぶりなんだよ?」


「だって最近のアルス様、女の子にだらしないもん…」


6年以上付き合いがあるせいか、

最近ミラの口調に少し遠慮がないときや、敬語じゃないときがある。

本人は気づいてないみたいだが。


「それは…ごめんって。

でもミラ。何度でも言うが、お前を1番愛してるのは本当だ。

お前に嫌われたら俺…」


(毎回フォローに苦労するぜ…。

ちょっとキャラじゃなかったか?)


(アルス様が可愛い!可愛いです!

嫌いになんてなれません〜!!)


「安心してくださいアルス様!

私も世界で一番あなたを愛しています。

嫌うわけがありませんよ。ふふふ」なでなで


「ミラ…」


(たまにはいつもと逆の関係も悪くないな…)


「さ、アルス様。美味しいご飯ができてますよ。食べに行きましょう?」


「あぁ、そうだな!お腹ペコペコだ!」


「アルス様ったら…ふふっ」


今日も今日とて幸せな日々だ。





ここで1つ、俺の本心を語ろう。


俺はこの世界に来て、自分の変化に驚いている部分がある。


それは、戦いやハラハラドキドキする冒険よりもミラたちと平凡(・・)で何気ない日々に幸せを感じることだ。


前世ではあんなにも平凡な日々がつまらないと思っていたのに…俺は本当にあいつらが好きみたいだ。



そして…もしこの楽しい日々を脅かす存在が出てくるのなら…絶対に許すつもりはない。

誰であろうと。

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