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偏食家  作者: 池田圭


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自宅テキトーパスタ

 腹が減った。

 仕事帰り、家に到着してすぐソファで眠ってしまった俺は、眠りから覚めた直後、自身の腹が空腹を訴えていることに気づいた。

 俺は自身の腕についてある、腕時計の時間を確認する。

 時計の針は、2時20分を指していた。そして、部屋の中は真っ暗である。

 こんな時間に起きて、飯を食うというのはあまり健康的ではない。

 そんな事を起きたばかりの俺は思っていた。

 しかし、今日は俺にとって休日。

 要するに仕事が無い。

 そんな仕事が無い日に不健康なことをしても、まぁ良いだろう。

 頭が冴えてきた俺はそう思った。

 ソファに寝そべっていた俺は、その体を起き上がらせ、シャワールームに行き、シャワーを浴びた。

 そして、シャワーを浴びていた俺は、自宅であるもので何を作ろうか考えていた。

 ヨシ。作るのも面倒臭いし、アレにしよう。

 そう思った俺は、シャワールームから出て、自身の体をタオルで拭いた。

 そして、タオルで拭いた体にパジャマを着せ、その上にエプロンを付けた俺は、キッチンへと向かった。

 まず俺は、キッチンの引き出しからスパゲティ100グラムを取り出し、それを半分に折って器にのせた。

 そしてその器に、水300グラム、醤油小さじ一杯分、オリーブオイル小さじ一杯分を入れ、その中に更に、シュレッドチーズをバサッとかけ、レンジで13分、ソレを温めた。

 レンジでソレを温めさせている間、俺は暇だったので計量カップとさじを洗い、ソファでぐったりとレンジがチンという音を出すまで待った。

 そういえば、イタリア人がいる前でスパゲティを折ると、イタリア人は怒ると聞いたことがあるが、それは実際本当なのだろうか?

 そんな疑問を浮かべていると、レンジは「チン」という音を立てた。

 俺はレンジから温めたものを取り出し、その温めたものに、ある調味料をかけた。

 いや、調味料というと少し語弊があるかもしれない。

 調味料というよりかは、俺がかけたものは、ご飯のお供だろう。

 俺がかけたのは、食べるラー油である。

 食べるラー油とは、ご飯にかけて食べる調味料なのか、ご飯のお供なのか、ラー油なのか、よく分からんが美味しいやつである。

 しかも、俺が今回使っている食べるラー油は、ただの食べるラー油では無い。

 今回俺がかけたのは、牛タン入りの少し高めの食べるラー油である。

 この牛タン入りの食べるラー油は、牛タンの風味と、食べるラー油の風味が絶妙にマッチしてて、絶品でしかないものだ。

 俺はその食べるラー油を、温めたものにさじで5杯くらいかけ、それらを混ぜた。

 これで完成である。

 名付けて、テキトーパスタである。

 俺はそのテキトーパスタをテーブルの上に持っていき、喰うことにした。

 前に作った豚丼ほどでは無いが、美味い。

 それもそうである。豚丼に比べたらこのパスタは、手間なんてものは無いに等しい。

 まぁ、前に作った豚丼もただ焼いただけのものだから、料理と言って良いのか分からないものであるが。

 ただ、こういったテキトーなものを作って喰ったとしても人間は、それを美味しいと思い喰うことが出来る。それは他の動物では味わえない至福である。

 俺はそう思わずにはいられない。

 しかし、そんな事を言っている俺だが、食材にはある程度こだわりがある。

 今回は、スパゲティだ。

 このスパゲティは普通のスパゲティでは無い。

 何が違うかと言うと、太さが違う。

 一般的なスパゲティは1.2ミリや、1.4ミリという太さだが、ウチで使っているスパゲティの太さは1.9ミリである。

 それにすることで、何が変わるかと言うと、麺のモチモチ度が一般的なスパゲティよりも喰いごたえのあるものになる。

 要するに、普通のスパゲティよりモチモチ度が増すと言うことだ。

 ただし、太さが違う為、レンジでチンする時は、一般的なスパゲティと同じ容量でやると、そこまでモチモチしないどころか、スパゲティが温め切れておらず、硬くなるといった悪い点もある。

 だから、1.9ミリのスパゲティのパスタを喰いたい人は、13分という時間を覚えておくと損は無いだろう。

 まぁ、そもそも1.9ミリのパスタをスーパーで見ることなどあまり無いとは思うが。

 そんなことを思いながら、俺はパスタを喰っていると、俺はひとつの事に気が付いた。

 パスタを入れていた器にヒビが入っていたのである。

 俺が今回使っていた器は、陶器である。

 そして陶器というのは、耐熱性はあるが、電子レンジで長時間使うと割れやすいと聞いた事がある。

 この器は俺のお気に入りの器であった為、頻繁に使っていたのだが、ヒビが入ってしまった。

 無くなって欲しく無いものは、いつの間にか無くなっていく。

 それは俺自身にとってそうであるものだが、他の者からしたらそこまで重要視されていないものはいくつかある。

 それはこの茶碗以外にも、高校時代に行っていた焼き鳥屋だったり、前に喰ったチーズバーガーだったり、俺の父親だったりする。

 それらのものは、俺が消えて欲しくない時に、消えていく。

 まぁ、そんな大層なことを言ってはいるが、このような結果になったのは、この器を電子レンジの中に頻繁に入れた俺の責任である。

 そんな事を思っていると、俺はパスタを喰い終わってしまった。

 俺は喰い終わった器をゴミ箱に捨て、エプロンを外し、ベットの中に入った。

 形あるものは、いずれ無くなる。

 だからこそ俺は、料理は美味しく喰いたい。

 喰ったらすぐに料理は無くなるのだから、その料理を喰ってる時の記憶は一生残るものでありたい。

 料理というのは、そうであるべきである。

 そして、こういった印象深い記憶が、誰かと共有する事が出来れば非常に良い筈だ。

 そんなことを思いながら、俺は二度寝するのだった。

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