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31話

狐坂家は大きな屋敷からかなりの資産家だと分かる。


なら食事はドラマや映画で見る長テーブルにワゴンで運ばれてくる高級料理のワンシーンを想像していた。


まあ、実際はそんな成金地味だ事はしないそうだ。


狐坂家では部下達を交えて朝食を取るようで食堂に移動している。


部下達の健康、精神状態の確認と連帯感を出す為らしい。


狐坂家の食堂に移動中、凛音さんに三兄妹なのか聞いたんだけど以外な事が解った。


「へ〜狐坂家って四世帯なんだ。宗介に本家とか分家があるって聞いてたからてっきり狐坂さ……拓蔵さん家族だけだと思ってた。」


「分かりづらいから凛音って呼んで良いわよ?」

「んー私も鈴音(すずね)って呼んで良いよ〜。」



女の子名前を呼ぶの何か恥ずかしいんだよなぁ。


「リ、凛音さん、す、鈴音さん、それで他の人達はどんな人達?」


「そうね、お父様の兄と弟と妹のそれぞれの家族が住んでるわ。」

「皆得意な事が被ってないからお(・)父(・)様(・)達(・)は(・)仲良しなんだよ〜。」


「………。」


拓蔵さんがそっと胃を抑えたのを見て、なかなかに難しい問題なんだと察せられる。


「あは……は食堂で合ったら挨拶はしますね。」


「大丈夫よ、本邸と連結している4つの別邸にも食堂は有るし本邸は基本私達の家族と部下しか………。」


凛音さんが歩みを止めて前を見据えて嫌そうな顔をした。


「おはようございます拓蔵殿。昨夜から先程まで運営部門の会議をしてまして、申し訳有りませんが本日は此方を利用させてもらいます。」


「おはよう修司(しゅうじ)くん。構わないよ、だが本邸での会議が長引くのは珍しいね。」


少し目を細めた拓蔵さんに修司と呼ばれたインテリアそうな彼は涼しげにわら…………ん?


「実はマジコミに関わっていた一部部品の運搬を任せていた子会社に問題が有る事が分かりましてね、それで緊急会議を開いたわけです。別邸に戻っても良かったのですが面白い話しを聞いたもので……そ(・)れ(・)が例の方で…………。」


それ呼ばわりして彼は俺を見て瞳孔を見開き固まった。

やっぱり何処かで合った気がする。


「えぇと修司さんとは何処かでお会いした様な気がするんですが……もしかして拓也の―――。」


「拓也?さて知らないなぁ。君に合ったのも初めだよ、おっとデータの見直しをしなければならなかったな、失礼します。」


くるり踵を返して足早に去って行く彼をやはり何処で合ったと、記憶をひっくり返してみても思い出せそうで思い出せない。


「アイツ、修司を知ってるの?」

「多分……バイト先か拓也の友人達とイベントに参加した時だと思うんだけど……もうちょっとで思い出せそうなんだけどなぁ。」

「あのインテリぜ〜たい、清仁お兄さんの事知ってるよ。」


「鈴音、インテリなんて言っては駄目だ。それにプライベートの事は仕事以外では探らない約束しただろ?清仁君も思い出せても言わないで欲しい。」


まぁ、家族でもプライベートの事を知られたくない事は有るしな。


クラスカースト上位のオタクを馬鹿にしてた奴が、アイドルのイベントスタッフしてた俺と拓也に会場内でバッタリと合った気不味さ………あっ。


「そそうですね!プライベートは大事ですよね。墓まで秘密にして置きますとも!。」


「「へぇ~……」」


2人にジト目で見られ冷や汗が出る。

…·…思い出しちゃったよ。


「凛音、鈴音……私の言った事、分かってるか?」


「「はい……」」


はぁ何で思い出しちゃったんだろ。


―――“『君達固まってないで支払いを早くしなさい。』“


何でバイトリーダしてたんだ修司さん。


印象にギャップが合って思い出せなかった。


心のそこから楽しんでバイトしていた彼と今の冷徹な彼………本当の彼はどっちなんだ?






Side――拓蔵


あのキョウオウと友(・)の(・)契(・)約(・)をしてしまった少年、“戸渡清仁“。


足運びは素人、魔力も御座なりだが霊力の流れは永年鍛錬をした者のそれだ、生き残る為に足掻き苦しみギリギリ生を勝ち取った事がうかがえる。


火之舞結咲の実の弟というのは火之舞結咲と仲がいい娘の夏音から聞いていた。

火之舞家と狐坂家は連携して情報封鎖をしていた為この事実は当主と当主補佐と関係者以外は知らされていないし彼らの家族を常時監視して守っていた訳ではない。

下手に我々が影から守っていれば、それは何か有ると言ってるのと同じだからだ。


だが今回は裏目に出た形で彼は我々の事情に巻き込まれてしまった。


凛音が知って入れば囮に使うなんて事をせずに、我々に連絡して保護に動けた。

だが結果として彼はベイスに狙われホーエンハイム家が密かに護衛に付けた、”磨土拓也““土屋雄一”そしてマーリン様の助けで何とか守り切ったのは幸いだ。



ホーエンハイム家、清仁君、火之舞結咲に貸しをつくる事になったのは胃が痛くなるが……。


魔術師の貸しは必ず返すのが掟、貸しにプラス依頼に相応しい報酬が合わされば断われない。


一度それで狐坂家当主が依頼達成の為に殉職している為忌避されて来た。


その為偶然とはいえ原因を作ってしまった凛音には当主補佐候補から外せと声が高まってしまった。


当主である祖父と当主補佐である兄妹と話し合ってたのが高祖である雪子様の鶴の一声で方針が固まった。


雪子様の夫こそが殉職された先代当主であるのに雪子様の決断に我々が意見など言えるわけがない。


「我々は誰だろうと覚醒した者を安全に守る事が出来る様に計画して行なった事です。

責任は我々狐坂にこそあるのですよ?表での依頼なら私が対応します、裏は私の伝手で対応しますから安心なさい。流石にお咎めなしとは言えませので、そうですね……凛音ちゃんには戸渡清仁の護衛兼魔術師の戦い方を教える教育係に成って貰いましょうか。」


流石に護衛と戦い方を教えるなんて事は早すぎると皆抗議したが――。


「ハッキリ言いましょう、私も含めてですが狐坂家全体的に凛音ちゃんを過保護にし過ぎてます。今回マジコミでの一件でハッキリしました。凛音ちゃんには準備が整い次第、一度狐坂家の加護を離れて戸渡清仁と共に魔術師統制機関の依頼を受けさせます。」


図星を突かれてしまい何も言い返せなかった……。


リスクが有る魔獣や道を外した魔術師には参加させず魔術師にもなれない犯罪者の捕縛、討伐にしか凛音を参加させていなかった。


命のリスクが有る事に関わるには凛音にはま(・)だ(・)早いと思ってさせて来なかった。


凛音そして幼い者達以外の子供達は既に経験済みなのにだ。


どうしても狐坂家の皆が凛音を雪子様と亡き妻の唯衣と重ねて見てしまい無意識に危険事をさせない様にしていた。


食堂で部隊の者達と食事をとっている。


私は部隊長達と食事を取っているが凛音は清仁君と若い子達に混じって食事をしていて、笑顔だが影のある凛音は雰囲気が雪子様にそっくりで、容姿は妻に似ている。


凛音は私の後を継ぎたがっているが私は………。


「拓蔵、あんまり思い詰めるな。凛音ちゃんは強い、信じて何時までも手を引いてやるじゃなく、信じて背中を推してやろうぜ。」

「そんな事言ってぇ〜お前は自分の娘が宗介に嫁ぐって言ったときはそりぁ大変な剣幕だったろ?」


「俺等が抑えなきゃ宗介の野郎殺されるかと思ったもんなぁ。」


「拓蔵殿も親と一族のまとめる者として辛いのだろ?話せない事は有るだろうが話せる事や助けになる事が有れば遠慮などいらぬよ。幼き頃からの我々の仲ではないか水臭いぞ。」


皆がうんうんと頷いて笑う、私は良き友に恵まれたな。


私は蕎麦啜る

「そんで清仁君ってのが凛音ちゃんの婚約候補なのか?」


「ぶほぉ?!」


思わず吹き出したが部隊長を任せれる実力の持主達、流石の反射神経で一瞬でビニール袋に回収してニヤニヤしてる。


こいつら最初から準備してたな!


「ごほごほ、お、お前達……覚悟できてるだろうな?」



「おぉ怖い怖い、……『その様子じゃ違うらしいが内外に清仁君を婚約者候補にしたと伝えた方が良いぞ。』」

「ハハハハ!ちょっとした悪ふざけだよ。……『凛音ちゃんが当主補佐候補から遠のいたと思った輩が出てる牽制としては有りだろ?』」


「ほら、顔を拭け。『ベイスの討伐に貢献した可能性が有る覚醒者である彼を引き抜こうとする家もちらほら出て来てる。仮の婚約者にした方が都合が良いと我々は思っている。』」


「少しは時間あるだろ、私の鍛錬に付き合え『それは凛音自信で決める事だ、苦労は私達(・)がすれば良いさ。』。」



「「「分かりましたよ当主補佐殿『親バカだがその苦労に付き合おう。』」」」


私がそう答えると皆は了承し、雑談して食事を終え、皆に一声かけて食堂を後にした。






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