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30話

Side――清仁


身体が暖かい……未だ寒い時期だがら布団の温もりは心地良い。


『清仁の匂い……落ち着くなぁ〜』


俺の匂いで落ち着くって何処のへんた……………。


「誰だ!!」


ばっと布団をめくると幼いキツネ耳の子供と目が合った。


『あっ清仁、目を覚ました、遊ぼ!』

「いや、君はどちらの子?」


起き上がった俺に抱き着いて来る狐っ子は本当になんだ?


油揚げをお供えした覚えもないしなぁ。


もしかしてコノハルさんのお子さんかな?


「失礼いたします、清仁様の起きた気配を感じま………キョウオウ様?"気配隠し"をして何をなされておいでですか?」


『清仁と遊ぶ!』

「お前キョウオウなの!?」


驚いたあの生意気な子狐が、狐っ子に進化したのか。


『なりません!キョウオウ様は修行の身ですぞ!皆のもの此処にキョウオウがいるぞ!!』


天井や床からぞろぞろと狐や黒装束がキョウオウを取り押さえようと出て来た。


キョウオウは慌て布団に隠れた所を布団とごと運び出されて行こうしていたが……。

俺はポツンと落ちている枕を手に取り、わちゃわちゃと枕を揉んだ。


『キュフフ!!くすぐったいよ清仁。』


ぴょこんと耳とシッポが生えた枕ににっこり微笑むだ。


「キョウオウ取ったどう!!皆の者、出やえ出やえ!」


言ってみたかった、時代劇のお決まり文句。


またドタバタと聞こえてキョウオウ枕は連行されていった南無。


『清仁の裏切り者〜!』

「勉強頑張れよ〜。」



ふぅ……さてここは何処だ?


「助かりました清仁様、キョウオウ様は昨日から清仁様に会えると、はしゃぎっぱなしで我々も手を焼いていたのです。」


「お役に立てて良かったです。所でここは何処なんですか?来た記憶が無くて……。」


見渡せば時代劇の偉い人が住む御屋敷に造りが似ている。


「ここは狐の坂と書いて、狐坂と呼びます、狐坂家の別邸となります。清仁様は昨日高熱を出され運び込まれたのですよ。」

「狐坂……小坂、あっそうか…狐坂さんの家だったのか。ご迷惑をおかけして、済みませんでした。」



頭を下げようとしたが止められしまった。


「いえいえ、清仁様は魔術で身体衰弱を抑えてたとはいえ病み上がりなのです、部下の宗介の奴がしっかりしていれば倒れる事も無かったでしょう。私からしっかりと叱っておきましたので。」


「えぇ……宗介の奴大丈夫か?嫁さんといちゃつくって言ってたのに不憫だ。」


罪悪感が湧いて来る、あんなに浮かれていたのに叱られるとか。


「やはり宗介はもっと叱られば良かったですな、任務中に浮かれるとは、根性を叩き直すべきか……。」


すまん宗介、余計な事言っちまった、嫁さんに慰めて貰ってくれ。


「っと。余計な事が起きましたが、清仁様朝食の用意が出来ております。こちらに着替えて下さい。」

「ありがとうございます。」


服が入った籠を渡され着替え終えると案内される。

途中、綺麗な枯山水の庭があり、手入れは浮遊する人の身体の狐達がしていて驚きで口を半開きにしっぱなしだった。



「どうぞこちらです。」

「あっはい………。」



別邸よりも大きい本邸は和洋折衷の建物、大正時代の領事館だよ、こっちの方が更に大きいけど。


本邸に入り進むと人の声が聞こえてくる。


「だから、何度も言ってるでしょ。清仁君は魔術師になるまで私が後ろ盾になるって。」

「それがおかしいって言ってるだろが!狐坂家に外部者入れる時はまず俺(・)の(・)部隊で鍛えるのが習わしだろうがよぉ!」


「はぁ、まぁた始まったよ。だるぅ〜。」


凛音さんに噛み付いてるのは二十代半ばくらいのヤクザの若頭が似合いそうな男、迫力あるなぁ。


凛音さんはげんなりしてるしソファで気だるげにしてる、小学生くらいの女もいる。


しかし彼は俺を自分の部隊に入れるとか言ってるし遠慮したいよ。


チラリと案内してくれた初老の男性を見ると、めっちゃ怒ってらした。


「元治、いつから私が統括する暗部がお前の部隊になった。」

「げっ!親父いや、ゆくゆくは俺が継ぐわけ……っ?!……済みません!感情に流されてデタラメ言いました!。」


元治くんのパピーの威圧を受けて真っ青な元治くん、正面から受けたくないな、横でもビリビリ感じて鳥肌が立ったよ。


「お父様が清仁君をお連れになったのですか?使用人に任せれば宜しかったのでは?」

「パパ〜威圧引っ込めてよピリピリする。」


「凛音、清仁様は大切なキョウオウ様のパートナーだから、私自ら出向いたんだよ。清仁様お辛かったですか?」


威圧を引っ込めた凛音さんのお父さんが畏まって聞いて来た。

この人はマーリンを知って畏まってるんだろうけど、めっちゃやり辛いな。


「畏まらなくても大丈夫ですよ、知り合いの子供とでも思って呼び捨てで気楽にお話し下さい。正直畏まられると胃が痛くて成るので……。」


「………なら普通に話させて貰うよ、私は狐坂拓蔵(たくぞう)当主補佐をしている。宜しくな清仁君。」


「はい、戸(・)渡(・)清(・)仁(・)です。こちらこそ宜しくお願いします。」


俺の言葉を聞いて元治くん以外は感心した表情している。


まぁ信頼の証みたいなもんだしな、でも拓蔵さんは信頼出来ると思った。着替えを渡された時彼に一瞬触れた時なんとなく感じた事だけどね。


「………親父何か隠してないか?」


「隠す?確かに隠してるな。それは元治の宿題とする、自分で調査し答えを私に教えてくれ。ヒントはマジコミの事件だ狐坂家の部隊の動員は禁止、元治個人のコネと情報収集能力を観せて欲しい。」


元治くんは気不味そうに俺を見た。


「……不快な思いさせて悪かった。」


「あぁ……まぁ家(・)族(・)に知らない奴が近づいたんだし、しょうがないかなぁ〜と思うから大丈夫ですよ?」


妹に男友達出来たら俺でも警戒するからね。

姉さんは……うん、信頼してるから大丈夫。


「――は?い、いやちげーよ!そんなんじゃっ?!………外でメシ食ってくる!」



顔真っ赤にして足早に去って行く元治くん。何か変な事言ったか俺?




何で皆さんニヤニヤ笑ってるの??








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