2話
南館の企業ブース内の案内図通りに移動したはずなんだが、想像と違っていた。
「え~と企業ブース………だよな?」
まずあり得ないくらい広い一階より広い。
「え~北区画100番通り”魔術薬”サークル行き発空します。黄色い線迄お下がり下さ~い。」
「「キュー」」
可愛い鳴き声と共に天高く上がり去っていくドラゴンに思考停止してしまった。
…宇宙ネコはきっとこんな気持ちだったんだなぁ──
「成る程………俺はコミケ熱気やられたらしい。夢現状態なんだな。」
きっと現実は販売案内とかそんなんだな、ここで本物と誤解したら夢から覚めた時に黒歴史になってしまう。
達観した俺は改めて目的のグッツを求めて案内図通りに進むと見つけた。
大人気ゲーム、〖マジック▪グランド▪オーダ〗のグッツが販売一覧が店舗横に大きく貼り出されいてさて何を買うかなと悩んでいた──
『フハハ!!その程度か太陽の!!』
『まさか、良いだろファラオの威光を観よ!』
店舗の脇から見える広いエリアにファンタジーなバリアが展開されている。バリアの中で最古の王様のコスプレイヤーと太陽のファラオなコスプレイヤーが宝具を展開してぶつかり合う衝撃と音は本物と感じさせ―――――……………ふぅ。
これは幻覚、これは幻覚、これはげんかく、ゲンカク
ヨォシィ
……サイキンノギジュツハスゴイナ~
「はぁはぁはぁ~、まったくもうこんな奥に仮参加者が何で入るのよ、焦ったじゃない!」
「コンニチハ、ナニカ?」
振り返ると息を切らせて女性が俺に詰めよってきた、普通の服装………っ?!
「んー?あぁ成る程こんなに奥に平然と入ったと思ったら現実逃避してたのね。初めて見るタイプの人間だわ。」
「????あれ、え、まさかこれ────現実、ほ、本物?!」
周りの人達はファンタジーな服装や動物を連れていて俺だけ浮いてる状態だった。現代ファションの女性がいて目が覚めた想いだ。
「ついて来てちゃんと説明するから。」
「あーはい。」
女性は近くの店舗の人に話しかけている間来た道を確認して考える。
とりあえず聞いてまずそうなら、にげ──
「逃げても良いけど、明日は三途の川を渡ってるかもね。」
「っ?!そ、そんな事思ってませんよ!本当!」
向き直ったら女性はクスクス笑いながら俺の考えを当ててきた為慌てて否定した。
悪い魔女みたいで怖い。
「半分冗談よ、少しの間スタッフルーム借りたからいくわよ。」
(半分本当なのかよ!)
─────────
スタッフに休憩室まで案内されて女性と一緒に入り席についた。
休憩室は普通だったので安心できる、普通バンザイ。
「はいお茶、それ飲んでひと息つきなさい。」
「ありがとうございます。」
紙コップに注がれたお茶を受け取り飲むとほっとして冷静なる。
いくら現実離れした事が起きたといっても自分が現実逃避したことが恥ずかしくなって身悶えしたいがぐっと我慢だ。
「先ずは自己紹介からね。私は狐坂 凛音よろしくね。」
「お、私は戸渡 清仁です。」
敬語で話した方が良いよな?
「そんなに緊張しなくて良いわよ、最近では貴方みたいな覚醒者は年5、6人は出るから此方も対応は柔軟になってるのよ。」
俺の表情を見て優しげに話してくれた。
「そうなんですか?それは安心……それって学校に一人は覚醒者がいるかもという事じゃないですか?」
「そうね覚醒者に限らずに普通では無い力の持ち主は最低3人以上は各区域ごとに配置してるから知らずにすれ違ってるのは確実ね。」
以外とファンタジーは身近だった……。
「さてここから本題ね、貴方には四つの選択肢があるわ。」
「四つ?多いですね。」
てっきり良くある能力とここの事の記憶を封印するかファンタジーの住人なるか二択だと思ってた。
「まぁ、30年も有ればいろいろとね……。」
「30?!最低ていうから三年位と…すみません続けて下さい。」
身近過ぎるぞファンタジー!
彼女は苦笑しつつ話してくれた。
「一つ目は覚醒能力をある程度育てて此方側に売り渡して此方側の事を秘密にする“真名契約”をする事ね。」
「売り渡す?それってどの位で?真名契約は想像出来るけど。」
真名契約は良くある魂に誓う絶対破れない契約だろうけど。
「そうね安くて500万円、高いと1億円以上ね。過去最高額は100億円位かしら?」
「当たり確定の宝くじ?!」
彼女はニヤリと笑いコチラ見て言った。
びっくりしすぎて思わず叫んでしまった恥ずかしい。
「ふふ、良い反応ね、もう1つ目で決めちゃう?」
「い、いえ最後まで聞いてから決めます。」
……俺の目、円マークになってないよな?
「即答する人も過去にいたけど……まぁ良いわ。
さて二つ目は能力と此方側での記憶を封印して今まで通りの生活をして貰う事ね。」
「普通の提案って感じですね。」
アニメや漫画に興味ない人が一番選びそうな選択肢だな。
「変な事に巻き込まれたくない人が選ぶ選択肢ね。
三つ目が決められた施設でしか能力を使えない制限を受けて此方側の外部協力者になる事。」
「凄い魅力的に思えるな、デメリット有りそうで怖いけど。」
程々な非日常が味わえて記憶もいじられない、めっちゃ良い案ぽいな。
「デメリットについては次の選択肢に関わるから最後に話すわ。そして最後4つ目……。此方側、魔法と魔術が当たり前、害獣である魔物を倒す、裏世界〖マトラティナ〗の一員になる事。」
やっぱり最後にその選択肢が来るよね。
王道の非日常突入イベントが現実に起きてしまった。




