14話
……ガヤガヤと騒がし、はて?人混みの中で寝落ちしてしまったのか?
俺はぼやける視界の中周りを見渡すと白衣の男が近づいてきた。
「おや?麻酔の量が少なかったのか?」
「ここは?」
白衣の男は近くの棚より注射器を取り出しこちらに近づいてきた。
身体は──問題ない、ロープで拘束されてるな。
「戸渡清仁君、動かないでくれよ。君は大事なボスの右腕に成るんだからね。」
「……何かのドッキリ番組なのか?こんな荒い事したんだ訴えさせてもらうぞ。」
白衣の男は可笑しそうに笑い顔を歪ませる。
「訴える?あ〜来世でかな?いや、どのみち此処で1日処置した後は廃人になる訳だし。
フムフム、思ってたのだが精神崩壊したら来世では訴えれるのかなぁ?君が答えを出してくれるならとてもありがたい。」
「そうか……残念だけど協力出来そうにない。」
俺はロープを引き千切り驚きで硬直する白衣の男の腕を捻りあげて素早く拘束し、持っていた注射器を男の首筋に当てる。
「グッ!?な、何故だ!魔術を使った事のない覚醒者が身体強化にこんな武術を使える?!」
「さぁね調査不足だっただけじゃないか?」
こっちはだてに三年間地獄の修練を積んでないんでね。
まぁ実戦は初めてだけからかなり緊張しては要るけどね。
さて奥歯に仕込んだ発信器は起動させた、この後はコイツと重ねるか。
「おい、俺と人生を共にするか人生を此処で終わらすかどっちにする?」
「はぁ?!わ、私には妻がいるんだ!そんな事……。」
毎回これ言わないといけないのは俺も辛いんだけどしょうがないだろ。
そういう固有魔術なんだから。
「今日限りの人生を共にするだけだ、ちなみに俺は胸の大きい女性が好きだ。」
「ひ、人質か……こ、断る、………私は断るしかないだ。」
首筋には違法な奴隷紋が刻まれているから分かってたけど面倒だな。
んー言い方を変えればいけるんじゃないか?
「分かった俺は眠らされたふりをして隙見て脱出する。それで狐坂家に助けを求めるよ。その間は運命協同体だバラすなよ?」
「わっ分かった提案を受け入れよう。」
脈拍から嘘なのバレバレだよ、という事は奴隷紋も偽物か?
でも了承したな?
“運命の車輪は二対共に回りだす〖ツインアルカナ〗“
俺の姿はぼやけ徐々に輪郭がはっきりし始める何回経験しても一瞬の思考の切り替わりは慣れないな。
「?!き、貴様は誰だ!!」
フフ…煩い凡人だ。さて………成る程状況は把握した。
「君には戸渡清仁としてボスの右腕に成って貰うよ。」
「ひっ!や、嫌だ止めろ!」
「訴えるならご自由に、私も気になるのだよ記憶保持した転生とやらがね。おっと転生と言ってもボスの右腕その者だったね。」
必死に足掻く男を閉め落とすと拘束具に固定し睡眠薬を投与する。
その後は物凄く長い呪文を唱え身体変化の魔術を男に施す、意思に反した魔術を他者にかけるのは大変でうんざりだがね。
「おや?……思考がより───よりすぎたッすね。危ない危ない。」
記憶と思考を重ねるのは下手をすれば自我が融合しかねないすっからね。
俺っちは精神訓練と婚約者の彼女への想いで支えられてるすっから余程の狂信者と重ねない限りは問題ないっ訳っすよ。
「とはいえ今回はちょい危なかったすね。」
戸渡清仁の思考にひっ張られて状況判断する前に動いちまったのは、男の記憶と重ねて読み取った感じ的に正解だったみたいっすけど。
人混みにいると勘違いした原因に眼を向けると冷や汗が出てきたっす。
「「「「「「「───……!─────!」」」」」」
椅子に固定された者達は虚ろな表情で呪文を唱え続け、身体に固有魔術馴染む前に呪文を唱えた影響で身体はボロボロになってるっす。
「無理やり固有魔術を使わせて安定させられてるんすね……。」
奪った白衣から振動がして俺っちは携帯端末を取り出し電話に出る。
「入って良いぞ。」
「どうだ様子は?」
様子見してたら間に合わなかったっす、本当にギリギリだったすね……。
入って来た男はベイスの部隊でナンバー3 の実力者でジブィスという見た目病弱そうなヒョロリとした体格に鋭い眼がこちらをとらえておっかないすね。
「どうこうもこの戸渡君は魔術に耐性が有るようで固有魔術の解析が進まないのだよ。」
「覚醒酔いも精霊獣の憑依すら平気で耐える身体だと聞いている。」
……グズの思考で言いたくないがバレる訳には行かないな。
「手っ取り早のは戸渡君の血縁者を操り、魔術を無理やり使わせて戸渡君にかけるのが良いんだが拐って来てくれないか?」
「残念だが大家の縄張りでバレずに動くにも一月は必要だ。ベイスの賢眼が使えるなら別だったんだがな。」
以外にも戸渡家は狐坂家の管轄範囲にあったすよ、これはラッキーだったすね。
「ではどうするんだ?とてもじゃないが三日以内は無理だ、最終日までならなんとなるが。」
「それで良い、今回で封印処置された非覚醒者狩りは終わりだ。発覚せずに狩れる範囲は粗方表からもいなくなったからな。」
……封印処置された非覚醒者の情報は大家の一族その暗部にしか情報は渡されないっす。
年一回所在確認もされてるっすから大家内部に裏切り者が居るのは確定すかね、嫌になるっすね。
封印解除方法は大家当主、魔術統制機関の上層部の秘匿技術なのも事の大きさを物語ってるっす。
「遅れてた部下達も到着した、此れでお前も楽できるぞ。」
「まったくだ一人で複数人を洗脳するのは疲れたよ。」
ふぅマジ戸渡君の思考には感謝っすね付け入る隙が失くなる所だったっす。
「しばらく私は休憩を取るよ、引き継ぎの記録はそこにおいてある。」
「お疲れさん、俺はボスに連──。」
カシャ、カシャ、カシャ
な、何すか?!急に停電?どうなってるんすか!
明かりがどんどん落ちて行き真っ暗になってしまったっす。
「………まずいな此処はエレベーター使わないと外に出るまで片道3時間掛かるぞ。」
「さ、三時間だと?!どうにかならんのか!」
「無理だ、此処の施設は発見されないよう配管や下水道の間を十分な距離を取って作られて複雑な迷路になってる、トラップも仕掛けてあるから尚更時間が掛かる。」
マジコミの配電設備を何者かが破壊したという事すか?ベイスの仕業じゃないならいったい誰がこんなマジコミ参加している魔術師全員に喧嘩売るような事を?
……ともかくベイスがおこなっていた実験の詳細データを取り出して脱出するしかないっす。
「……私はバックアップデータの保管所で復旧するまで待機する。復旧したら直ぐに今日の分のデータを復元しなくては最終日まで間に合わないのでな。」
ジブィスは光源魔術を使った後メモ帳を見て何か考えている何が書かれてるっすか?男の記憶にもないっすね。
「……………いや、此処は破棄する。データはメモリーに保管してある分だけ持ち出すぞ。そこの馴染ませてる奴等は貴重品を運び出す奴隷として扱うぞ……急げ質問するな、逆らったら……殺す。」
「?!……準備出来しだい施設入口のホールで待機しよう。」
感づかれた?いやおそらくベイスに指示されてたっすね
該当する何かが起きた時はメモ帳に書かれた通りに動くように。
俺っちは言われた様に急いで準備を初めてジブィスは出ていた後怒号が施設が響き初めてた。
……今はよけいな事はせずに従うしかないっすね。
早く助けに来て下さいよ、出ないと俺っち殺されるかもしれないっす。




