第十四章・第九話「動き出す闇」
その夜、悪い予感は、最悪の形で的中した。
自宅に戻った直後、俺のスマホが激しく震えた。画面に表示されていたのは、悠斗からの着信だった。
「悠斗、どうした」
『蒼、大変だ!亜衣が――』
電話越しに聞こえる悠斗の声は、明らかに取り乱していた。
「落ち着け、何があった」
『塾の帰りに、何者かに襲われたって連絡があって……今、亜衣の両親と一緒に、病院に向かってる!』
その言葉に、俺の全身から血の気が引いた。
「怪我は?無事なのか?」
『命に別状はないって聞いたけど、腕を怪我したらしい。詳しいことは、まだ分からない』
俺は唇を強く噛みしめた。黒鴉が、本当に動き出した。しかも、よりにもよって、最も標的にされやすい亜衣を。
「俺も、すぐにそっちに向かう」
『頼む……』
通話を切った後、俺はすぐにクロウへ連絡を入れた。
『亜衣が襲われました。黒鴉の仕業の可能性が高いです』
既読がついてすぐ、返信が届く。
『くそ、本当に動き出したか。今すぐそっちに向かう。他のメンバーの安否も、すぐに確認しろ』
その指示に従い、俺は震える手で、莉世、澪、そしてもう一度悠斗へとメッセージを送った。
『今すぐ返信してくれ。無事か確認したい』
澪からはすぐに返信が来た。無事を確認し、俺は小さく息を吐く。だが、莉世からの返信は、なかなか届かなかった。
(まさか……)
最悪の想像が頭をよぎる。俺は震える指で、莉世の番号に電話をかけた。
コール音が、やけに長く、重く響く。
「――出てくれ」
祈るような気持ちで、俺はひたすら、その呼び出し音に耳を澄ませ続けていた。
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