第十四章・第三話「甘い休日」
重苦しい空気が続く中でも、日常は確かに動いていた。
交際を始めてから初めての休日、俺は莉世と二人で出かける約束をしていた。待ち合わせ場所に現れた莉世は、以前のデートの時よりも、どこか柔らかい雰囲気の私服姿だった。
「待った?」
「いや、今来たところだ」
以前と同じようなやり取りを交わしながらも、二人の間に流れる空気は、明らかにあの頃とは違っていた。手を繋ぐことも、自然な流れでできるようになっている。
「今日、どこ行くの?」
「莉世が決めていいぞ」
「えー、蒼くんが決めてよ」
そんな他愛のない押し付け合いの末、結局は近くのショッピングモールをぶらぶらと歩くことになった。特別なことをしているわけではない。だが、莉世と過ごすその時間は、これまでにないほど満たされたものに感じられた。
「ねえ、蒼くん」
カフェで休憩していると、莉世がふと真剣な顔を見せた。
「黒鴉のこと、何か進展あった?」
「……正直、あまり芳しくない」
俺は、クロウたちの調査が行き詰まっていることを、簡単に話した。莉世は神妙な顔で耳を傾けた後、静かに言った。
「大丈夫、きっと見つかるよ」
「そうだといいんだけどな」
「うん。だから、今日くらいは、そのこと忘れて楽しもう」
莉世はそう言うと、努めて明るい笑顔を見せた。その気遣いに、俺は心の底から救われる思いがした。
「ああ、そうだな」
俺たちはそれから、他愛のない話をしながら、ゆっくりと休日の時間を過ごした。羽鳥との対立、黒鴉の脅威――それらの重さは、消えることなく確かにそこにある。だが、こうして莉世と過ごす時間が、俺にとって、何物にも代えがたい支えになっていることを、俺は改めて実感していた。
帰り際、莉世が俺の手をぎゅっと握りしめた。
「何があっても、ちゃんと帰ってきてね」
「ああ、約束する」
夕暮れの空の下、交わしたその約束の重みを、俺はしっかりと胸に刻み込んでいた。
【作者からのお願い】
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!
「アステリズム・オンラインの続きが気になる!」
「蒼のこれからの無双に期待!」
と少しでも思っていただけたら、画面下部にある
【ブックマーク登録】 と 【評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)】
で応援していただけると、執筆のモチベーションが劇的に上がります!
皆様のポチッと一押しが、この物語の何よりの支えになります。よろしくお願いいたします!




