第十一章・第五話「澪の決意」
数日後、澪は蒼の部屋を訪ねていた。
「お兄ちゃん、ちょっといい?」
「ああ、入ってくれ」
ベッドに横になったまま答える蒼の元へ、澪は静かに歩み寄る。その表情には、以前までの戸惑いとは違う、何か確かな決意めいたものが浮かんでいた。
「私、決めたことがあるの」
「決めたこと?」
「巫女としての力、ちゃんと使いこなせるようになりたい。お兄ちゃんを、守れるように」
その言葉に、蒼は少し驚いたように目を見開いた。
「無理しなくていいんだぞ、澪は」
「無理してるんじゃないよ」
澪は静かに、だがはっきりと言い切った。
「この前、お兄ちゃんがボロボロになってるの見て、私、本当に怖かった。でも、それ以上に、悔しかったの。何もできない自分が」
「澪……」
「だから、ちゃんと力を使えるようになりたい。莉世さんとも、一緒に勉強するって約束したから」
澪の瞳には、揺るぎない強さが宿っていた。蒼はしばらく黙って妹を見つめた後、ゆっくりと口を開いた。
「分かった。だが、無茶だけはするなよ」
「うん、約束する」
澪は小さく笑うと、その表情には、以前よりもずっと大人びた光が浮かんでいた。
「お兄ちゃんを守れる巫女になる。それが、今の私の目標だから」
その決意を胸に、澪は静かに部屋を後にした。窓の外に広がる夕焼けを眺めながら、蒼はしばらく、妹の成長した横顔を思い返していた。
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