第十一章・第四話「巫女の戸惑い」
その頃、澪は自室で、一人スマホを見つめながら、ため息をついていた。
〈水無瀬澪〉
〈Lv.1〉
〈ジョブ:巫女〉
〈スキル:慈愛の加護〉
念じると浮かび上がる、自分専用のステータスウィンドウ。何度見ても、まだ実感が湧かなかった。
(私が、こんな力を持つなんて……)
あの日、蒼を助けたいという一心で目覚めた力。だが、いざ落ち着いて考えると、澪の中には戸惑いの方が大きく渦巻いていた。
(これから、どうすればいいんだろう)
巫女というジョブが、具体的にどんな戦い方をするものなのか、澪にはまるで見当がつかない。慈愛の加護というスキルも、あの時は無我夢中で発動しただけで、意図的に使いこなせる自信はなかった。
スマホを操作し、澪は莉世にメッセージを送った。
『莉世さん、巫女のジョブについて、何か知ってることありますか』
既読はすぐについたが、返信までには少し時間がかかった。
『ごめん、私も詳しくは分からないかも。でも、一緒に調べてみようか』
その優しい返信に、澪は少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。
(一人じゃない、んだよね)
莉世や亜衣、そして蒼。周りには、支えてくれる人たちがいる。それでも、この力をどう使っていけばいいのか、澪自身の中で答えを出さなければならない部分もあった。
(お兄ちゃんを、ちゃんと守れるようになりたい)
その思いだけは、揺るぎなく澪の中にあった。だが、その思いを形にするための道のりは、まだ始まったばかりだった。
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