69/103
第十章・第二十四話「不敵な笑み」
その頃、事件の顛末を伝え聞いた羽鳥は、学校の屋上で一人、スマホの画面を眺めていた。
「――幹部が一人、潰されたか」
非公式のネットワークを通じて流れてきた、簡潔な情報が画面に表示されている。読み終えると、羽鳥は小さく舌打ちした。
「せっかく、面白いことになりそうだったのに」
悔しさを滲ませたその声には、しかし、単なる落胆だけではない、別の色も混じっていた。
「あの水無瀬蒼って奴、噂以上に厄介だな。しかも、妹まで覚醒させちまうとは」
独りごちながら、屋上の柵に寄りかかる。夕暮れの空を見上げ、しばらく黙り込んだ。
「……まあ、いいさ」
やがて、羽鳥の口元に、不敵な笑みが浮かぶ。
「こっちも、そろそろ本腰を入れるとするか」
その呟きには、これまでの人懐っこい印象とは、明らかに異なる響きが込められていた。
スマホをポケットにしまうと、羽鳥は静かに屋上を後にした。夕日に長く伸びるその影だけが、しばらくの間、誰もいない屋上に残り続けていた。
――物語は、まだ、序章に過ぎなかった。
コメント・フォローよろしくお願いします
コメント・フォローがくると頑張れます^_^




