第十章・第十九話「満身創痍」
弱体化した体で、俺は必死に敵の猛攻を凌いでいた。
いつもなら容易く避けられるはずの攻撃が、今は紙一重でしか躱せない。腕に、肩に、浅い傷が次第に増えていく。
「ぐ……ッ」
一撃を受け流し損ね、脇腹に鈍い痛みが走った。それでも、双剣を手放すわけにはいかない。
「お兄ちゃん!」
澪の悲痛な声が、耳に届く。歯を食いしばりながら、それでも敵の間合いから逃れるように体を動かし続けた。
「悠斗、まだか……!」
視界の端で、悠斗が莉世と亜衣の拘束を解こうと奮闘しているのが見える。だが、慣れない作業に、時間がかかっているようだった。
「くそ、なかなか解けない……!」
焦った悠斗の声が響く。その間にも、俺への攻撃は容赦なく続いていた。
「ハッ、いいザマだな」
愉快そうに笑いながら、男が追撃の指示を飛ばす。複数の構成員が、一斉に襲いかかってきた。
双剣を交差させ、なんとか初撃を防ぐ。だが、その反動で体勢を崩し、二撃目を完全には避けきれなかった。
「がっ……!」
肩に鋭い痛みが走り、思わず片膝をついてしまう。視界が一瞬、ぐらりと揺れた。
(まずい……このままじゃ)
息が上がり、体中が悲鳴を上げている。それでも、歯を食いしばり、震える足で再び立ち上がった。
「まだ、だ……」
朦朧としながらも、双剣を握る手だけは離さなかった。守るべきものが、すぐそこにある。倒れるわけには、いかなかった。
だが、体力の限界は、確実に近づいていた。次に受ける一撃が、致命傷になりかねない。そんな予感が、頭の片隅をよぎっていた。
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