第十章・第十八話「弱体化」
廃工場の入口に辿り着いた時、目に飛び込んできたのは、拘束された莉世と亜衣、そして――男の傍らに立たされた澪の姿だった。
「澪!」
「お、お兄ちゃん……!」
驚いたようにこちらを見る澪。俺は迷わず工場内へと踏み込んだ。
「随分と早いお着きだね」
振り返った男が、薄く笑う。
「離れろ、澪から」
「断る、と言ったら?」
男の合図で、周囲に潜んでいた複数の構成員が姿を現した。双剣を抜き放ち、油断なく身構える。
「悠斗、莉世と亜衣を頼む」
「分かった!」
拘束されている二人の元へと悠斗が駆け出す。それを援護するように、目の前の敵に向かって踏み込んだ。
だが――踏み込んだ瞬間、違和感が全身を襲う。
(体が、重い……?)
いつものように動くはずの体が、明らかに鈍っている。双剣を振るう速度も、踏み込みの鋭さも、これまでとは比べ物にならないほど落ちていた。
「気づいたか?」
愉快そうに男が笑う。
「特別に用意した『封印の呪符』ってやつだ。お前のステータスを、一時的に大きく下げる効果がある。ゲームシステムを利用した、ちょっとした細工でね」
その言葉に、舌打ちが漏れる。ステータスの恩恵を封じられれば、俺はただの、多少腕の立つ高校生に過ぎない。
「くっ……」
迫りくる敵の攻撃を、どうにか捌いていく。だが、いつもとは比べ物にならない負担が、体に重くのしかかっていた。
「あーあ、無様だなぁ。噂のラストクリアラーが、この程度とはね」
挑発するような男の声が、耳に響く。歯を食いしばりながら、それでも双剣を握る手は緩めなかった。
(ここで、倒れるわけには……)
澪を、莉世を、亜衣を、悠斗を守るためにも、この場で膝をつくわけにはいかなかった。
コメント・フォローよろしくお願いします
コメント・フォローがくると頑張れます^_^




