第十章・第十七話「駆け付ける影」
同じ頃、本条のカフェには、クロウが慌ただしく駆け込んでいた。
「本条、情報が入った。黒鴉が、街外れの廃工場に人質を拘束してるって話だ」
「人質……?」
「詳細は分からないが、蒼の関係者が巻き込まれてる可能性がある」
その言葉に、本条の表情が瞬時に強張った。
「すぐに、蒼に連絡を」
「もう送った。あとは、あいつが間に合うかどうかだ」
その頃、俺のスマホには、クロウからの緊急メッセージが届いていた。
『澪ちゃんと莉世ちゃん、亜衣ちゃんが黒鴉に捕まった可能性がある。場所は街外れの廃工場だ。今すぐ向かえ』
文面を見た瞬間、頭が真っ白になる。
(澪が……莉世たちも……)
考える間もなく、玄関を飛び出していた。フードを目深に被り、双剣を腰に携えたまま、全速力で走り出す。
「――蒼!」
背後から聞こえた声に、思わず足を止めた。振り返ると、そこには息を切らした悠斗の姿があった。
「悠斗、なんでここに」
「莉世から、様子がおかしいって連絡があってさ。亜衣とも連絡取れなくて……。お前も、何か知ってるんだろ」
真剣な眼差しの悠斗に、一瞬迷った。だが、隠している時間はなかった。
「詳しくは後で話す。とにかく、危険な状況だ」
「なら、俺も行く」
「危ないぞ」
「亜衣が危ないんだろ。だったら、なおさら行かないと」
迷いのない強さのこもった悠斗の言葉。それ以上止めることをせず、小さく頷いた。
「分かった。ついてこい」
二人は、夜の街を並んで駆け出した。
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