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『アステリズム・オンライン 〜世界で唯一ゲームをラストクリアした俺、現実世界で正体を隠して無双する〜』  作者: かいばーく


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第十章・第五話「駆けつける」



 時間は再び、現在に戻る。


 俺は家を飛び出した後、澪が通っているはずの塾からの帰り道を、無我夢中で走っていた。息が上がるのも構わず、可能な限りの速度で駆け抜ける。


(頼む、間に合ってくれ)


 スピードに全振りしたステータスが、今ほどありがたいと思ったことはなかった。普段なら十数分かかる距離を、俺はわずかな時間で駆け抜けていく。


 澪がよく使う通学路――その途中の路地に差し掛かった瞬間、微かな悲鳴のような声が聞こえた。


「――だ、誰か……!」


 澪の声だ。


 迷っている暇はなかった。俺は最後の力を振り絞り、声のする方向へと全力で駆け出した。


 路地に飛び込んだ瞬間、目に飛び込んできたのは、澪の腕を掴もうとする男の姿だった。


「――離れろ」


 俺は低く鋭い声で言い放ちながら、澪と男の間に割り込んだ。男の手が澪に届く寸前、俺はその腕を強く払い除ける。


「な――」


 男が驚いたように後ずさる。俺は澪を庇うように背に隠しながら、二人の男を睨みつけた。


「澪、大丈夫か」


「お、お兄ちゃん……」


 澪の声が震えている。俺は安堵と怒りの入り混じった感情を抑えながら、目の前の男たちに視線を戻した。


「お前ら、黒鴉の連中だな」


 俺の言葉に、最初に声をかけてきたらしい青年が、薄く笑った。


「察しがいいね。まあ、こうなったら仕方ないか」


「妹に手を出すな」


 俺は低く、絞り出すように言った。フードの奥で、これまでにないほどの怒りが渦巻いているのを、自分でも感じていた。


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