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『アステリズム・オンライン 〜世界で唯一ゲームをラストクリアした俺、現実世界で正体を隠して無双する〜』  作者: かいばーく


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第九章・第八話「妹の告白」



「実はさ……昨日、書店で変な人に声かけられて」


 静かに、澪はそう切り出した。平静を装いながら、続きを促す。


「どんな奴?」


「お兄ちゃんの知り合いだって言ってた。お兄ちゃんに渡したいものがあるから、渡してほしいって」


 そう言うと、澪は鞄から一枚の紙切れを取り出した。受け取って目を通す。会社名も肩書きもない、簡素な連絡先だけが記されたそれに、瞬時に確信めいたものが走った。


(黒鴉、か)


「お兄ちゃんのこと、色々聞かれたの。最近どんな感じか、とか」


「……それで、何て答えた?」


「詳しいことは分からないって言った。でも、なんか、変な感じがして」


 澪の声には、隠しきれない不安と焦りが滲んでいる。努めて優しい声を心がけながら、妹の頭に軽く手を置いた。


「よく言ってくれたな。ありがとう」


「お兄ちゃん……何か、知ってるの?」


 澪の問いに、身体が硬直する。すべてを話すべきか、迷いが胸をよぎった。だが今は、まだその時ではないと判断する。


「詳しいことは、また今度話す。ただ、しばらくは知らない人について行ったりしないでくれ。何かあったら、すぐに俺に連絡してほしい」


「うん……分かった」


 神妙な顔で頷いた澪は、その紙切れを預けて、部屋を後にしていった。


 一人残された部屋の中で、受け取った紙切れをじっと見つめる。


 莉世、亜衣、そして澪――俺の周りにいる大切な人間全員に、黒鴉の手が及び始めている。


(総帥とやら、随分と急いでるみたいだな)


 静かな怒りが、腹の底からこみ上げてくる。これ以上、大切な人間を危険に晒すわけにはいかない。


 スマホを取り出し、クロウへ短いメッセージを打ち込んだ。


『妹にも接触がありました。詳しく話を聞きたいです』


 送信してすぐ、返信が届く。


『明日、全部話す。腹を括ってくれ』


 その一文を見つめながら、静かに息を吐いた。


 ――この平穏な日常を守るために、俺はもう一歩、踏み出さなければならない。そんな確信だけが、今は胸の内にあった。


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