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『アステリズム・オンライン 〜世界で唯一ゲームをラストクリアした俺、現実世界で正体を隠して無双する〜』  作者: かいばーく


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第九章・第四話「莉世への接触」



 その日の帰り道、莉世は妙な視線を感じていた。


(気のせい、かな……)


 駅までの道を歩きながら、何度も背後を振り返る。だが、これといって不審な人影は見当たらない。


 駅前の路地に差し掛かったところで、突然、それは現実のものとなった。


「――莉世さん、ですよね」


 不意に声をかけられ、莉世は思わず足を止める。振り返ると、柔らかな笑みを浮かべた見知らぬ男が立っている。年齢は二十代半ばほどだろうか。一見すると、どこにでもいそうな穏やかな雰囲気の人物だ。


「……どなたですか」


「怪しい者じゃありませんよ。ちょっと、お話を伺いたくて」


 じわりと距離を詰めてくる男。莉世は本能的な警戒を感じ、一歩後ずさった。


「水無瀬蒼さんと、親しくされてますよね」


 その名前が出た瞬間、莉世の背筋に冷たいものが走る。


「……それが、何か」


「いえ、大したことではないんです。ただ、彼について少し伺いたくて。どんな装備を使っているとか、普段どんな生活をしているとか」


 男の口調は柔らかいままだったが、その内容は明らかに不審だった。警戒を強めながら、莉世は努めて平静を装って答えた。


「そういうことは、お答えできません」


「そうですか。まあ、無理にとは言いません」


 あっさりと引き下がり、男は莉世に軽く頭を下げた。


「また、機会があればお話ししましょう。それでは」


 言い残すと、男は雑踏の中へと姿を消していった。莉世はしばらくその場に立ち尽くしたまま、震える手をぎゅっと握りしめていた。


(今の、何……)


 単なる不審者、というには、あまりに要領を得た聞き方だった。嫌な予感を覚えながら、莉世は急いでその場を後にした。


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