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『アステリズム・オンライン 〜世界で唯一ゲームをラストクリアした俺、現実世界で正体を隠して無双する〜』  作者: かいばーく


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第九章・第三話「妹の話」



 その日の夕食時、テーブルの向かいに座る妹が、不満げに頬を膨らませていた。


「お兄ちゃん、最近帰り遅いよね。莉世さんとデートでもしてるの?」


「……お前、いつの間にそんな言葉覚えたんだ」


 妹の水無瀬澪(みなせ・みお)は中学二年生。生意気な口を利く年頃だが、根は素直で、俺のことをよく慕ってくれている。


「亜衣さんから聞いたんだ。莉世さんっていうお姉さんと仲良くしてるって」


「……亜衣さん?」


「莉世さんの友達でしょ?この前、SNSで繋がったの」


 得意げにスマホの画面を見せてくる澪。確かに、亜衣とのやり取りらしき履歴が残っていた。莉世たちと会うようになってから、澪の交友関係も自然と広がっているらしい。


「変な繋がり方するなよ」


「別にいいじゃん。莉世さんたち、いい人そうだし」


 屈託なく笑いながら、澪は夕食を頬張った。澪には詳しく話していない。ダンジョンや俺自身のことを話すと巻き込む可能性があるからだ。


「お兄ちゃんもさ、最近前より楽しそうだよ」


 不意にそう言われて、頬が少し熱くなる気がした。


「……そうか?」


「うん。前はもっと、こう……壁作ってる感じだったから」


 その指摘に、思わず言葉に詰まった。妹の目には、そんな風に映っていたのかと、今更ながら気づかされる。


「別に、変わったつもりはないけどな」


「まあ、いいけどね」


 また屈託なく笑う澪。その笑顔を見ながら、密かに安堵していた。この平穏な日常だけは、何としても守りたい。改めて、そう思った。


 ――だが、その願いとは裏腹に、闇はすでに、静かにこの家族にも忍び寄り始めていた。


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