第八章・第十一話「核心への一歩」
「それで、今後の動きなんだが」
クロウが真剣な表情で切り出す。本条はカフェのカウンターからノートを一冊取り出し、テーブルに広げた。
「末端の連中から聞き出した情報、整理してみた。黒鴉の拠点は、恐らく一つじゃない。複数の拠点を、細い糸の様にネットワークで繋いでる感じだ」
「本部みたいなものは?」
「まだ特定できてない。ただ、指示系統の頂点にいる奴――末端が『総帥』と呼んでる人物がいるのは間違いなさそうだ」
クロウは腕を組み、考え込むように目を閉じた。
「総帥、か。ゲーム時代の実力者である可能性が高い、って話だったな」
「そうだ。しかも、かなりの上位プレイヤーだった可能性がある。組織立った動きや、モンスターを誘導するような小細工――ゲームシステムへの理解度が並じゃない」
「心当たりは?」
「正直、絞り切れてない。ただ……」
本条は一瞬、言葉を濁した。
「ただ、何だ」
「昔、ゲーム内で似たような思想を語ってた奴がいたのを、思い出した。『強い者が世界を作り替えるべきだ』みたいなことを、よく吹聴してたプレイヤーだ」
「名前は」
「思い出せない。だいぶ前の話だし、当時は本気にしてなかったからな」
クロウは小さく舌打ちすると、椅子から立ち上がった。
「引き続き、思い出せることがあったら教えてくれ。俺は、他の伝手も当たってみる」
「ああ。それと――」
本条が、少し声を落として続けた。
「蒼には、どこまで話すつもりだ」
その問いに、クロウは一瞬、答えに詰まった。
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