第八章・第八話「本条の回想・クランの長として」
本条にとって、ゲーム時代の自分は、いつも「守る側」の人間だった。
自身が運営していたクラン『黎明』は、初心者から上級者まで、多くのプレイヤーが集う大所帯だった。本条は、そのまとめ役として、いつもメンバーの相談役を担っていた。
「本条さん、今度の高難度クエストなんですけど……」
「ああ、任せろ。しっかりサポートするから」
誰かのために動くことに、本条は誇りを持っていた。だからこそ、クランの規模が大きくなるにつれ、責任の重さも増していった。
ある時期、クラン内で大きなトラブルが起きた。一部のメンバーが不正なプレイを繰り返し、それが原因で他のプレイヤーとの間に深刻な軋轢が生まれたのだ。
「本条さん、これ、どう収拾つけるつもりですか」
「……すまない、俺の監督不行き届きだ」
本条は、その責任を一身に背負い込もうとしていた。だが、クラン内の空気は次第に悪化し、メンバー同士の対立は日に日に深まっていく。
「もう、こんなクラン抜けたい」
「本条さんの管理能力、正直微妙じゃないか」
心無い言葉が、あちこちから聞こえてくるようになった。本条は表向き、努めて冷静を装っていたが、内心では大きく揺らいでいた。
(俺は、クランを守れているんだろうか)
そんな不安を抱えていた、ある日のことだった。
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