第八章・第七話「クロウの回想・現在へ」
あの日、蒼にかけられた言葉が、クロウにとってどれほどの救いになったか。
「ゲームの中でくらい、格好つけなくていい」
その一言は、現実で張り詰めていたクロウの心を、静かに解きほぐしてくれた。誰にも弱音を吐けずにいた当時のクロウにとって、蒼の存在は、間違いなく支えの一つだった。
「――あの時、俺は蒼に救われたんだよ」
カフェの椅子に腰掛けたまま、クロウは静かにそう語った。本条は黙って耳を傾けている。
「表向きは、俺が先輩ヅラして色々教えてやってたことになってるけどな。本当は、逆だった。あいつがいなかったら、俺はとっくにゲームどころか、色々投げ出してたと思う」
「それは……知らなかったな」
「言ってなかったからな」
クロウは小さく笑うと、コーヒーカップを傾けた。
「だから、あいつが今、こういう厄介事に巻き込まれてるのを、黙って見てるわけにはいかないんだよ。あの時の借り、まだ返せてないからな」
本条は、その言葉を静かに受け止めながら、自分のカップに視線を落とした。
「――俺も、似たようなもんだよ」
「ん?、、、お前も、か」
「ああ」
本条はそう言うと、遠い目をして、当時の記憶を辿り始めた。
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