第八章・第五話「クロウの回想・並んで歩く」
あの一件をきっかけに、クロウと蒼は頻繁に一緒にプレイするようになった。
もっとも、周囲には「クロウが年下の有望株を面倒見ている」というふうに見えていたはずだ。実際、表向きにはクロウの方が年上で、経験も長い。だから自然と、そういう構図が出来上がっていった。
だが、実情は少し違った。
「クロウさん、そこのギミック、右から迂回した方が早いですよ」
「お、おう。さすがだな」
「別に、大したことじゃないです」
攻略のアドバイスをくれるのは、いつも蒼の方だった。年下とは思えないほどの読みの深さと判断力。クロウはむしろ、蒼から教わることの方が多かった。
「なあ蒼、お前、、、ホントに俺より年下か?」
「年下ですよ。歳、聞いてないんで知りませんけど」
「知らねえのかよ」
軽口を叩き合いながらも、二人の間には、いつしか確かな信頼が生まれていた。クロウは、蒼のそっけない態度の裏にある、不器用な優しさに何度も助けられていた。落ち込んでいる時、それとなく話を聞いてくれたのも、いつも蒼の方だった。
「――クロウさん、無理しなくていいですよ。俺、待ってますから」
結果が出ずに苦しんでいた時期、蒼が何気なくかけてくれたその一言に、クロウはどれだけ救われたか分からない。
「表向きは、俺が兄貴分ってことになってたけどな」
クロウは今、当時を思い出しながら、小さく苦笑する。
「実際は、逆だったよ。あいつの方が、よっぽど俺を支えてくれてた」




