↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『アステリズム・オンライン 〜世界で唯一ゲームをラストクリアした俺、現実世界で正体を隠して無双する〜』  作者: かいばーく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/104

第七章(後編)「噂の生徒」



 翌週、蒼の通う高校の教室は、いつもと違う空気に包まれていた。


「なあ、聞いたか?二年の……確か羽鳥先輩だっけ、あの人がすごい成果出したって話」


「知ってる!ダンジョンの中層攻略、ソロで達成したんでしょ?しかも記録更新したって」


 朝のホームルーム前、教室のあちこちで同じ話題が飛び交っている。俺は自分の席で、その噂話を何とはなしに聞き流していた。


「なあ蒼、聞いたか今の話」


 悠斗が机に頬杖をつきながら、興味深そうに身を乗り出してくる。


「いや、詳しくは」


「うちの学校の先輩がさ、中層ダンジョンをソロで攻略したらしいんだよ。しかも、公式の記録サイトにも載るくらいの成果だってさ」


「へえ」


 俺は素っ気なく相槌を打ちながら、内心で僅かな引っかかりを覚えていた。同じ高校に、そこまでの実力者がいるとは、今まで聞いたことがなかった。


「動画とかも出回ってるらしいぞ。見るか?」


「別にいい」


「ノリ悪いなぁ。まあ、お前もダンジョン多少詳しいなら、興味あるかと思ったんだけど」


 悠斗はそう言いながら、スマホの画面をスクロールしている。俺はちらりとその画面に目をやったが、遠目からでは詳細までは分からなかった。


---


 昼休み、廊下を歩いていると、その話題はさらに広がりを見せていた。


「あの人、確か普段は目立たない感じだったよね?」


「それが逆にすごいって話題になってるんだよ。隠れた実力者、みたいな」


 すれ違う生徒たちの会話の断片が、耳に入ってくる。俺はそれを聞きながら、小さな違和感を拭えずにいた。


(隠れた実力者、か)


 その言葉に、どこか他人事ではない響きを感じてしまうのは、気のせいだろうか。


 俺自身、正体を隠しながらダンジョンを攻略してきた身だ。似たような境遇の人間が、同じ学校に、しかも自分の知らないところにいる――その事実に、漠然とした落ち着かなさを覚えていた。


 もっとも、噂の主が誰なのか、俺はまだ顔も名前も、はっきりとは把握していなかった。


 廊下の掲示板には、既に学校側が用意したらしい、簡易な祝福コメントの貼り紙まで掲げられていた。


〈本校生徒がダンジョン中層攻略の快挙!今後の活躍に期待!〉


 その貼り紙を横目に、俺はそのまま通り過ぎた。今のところ、自分とは関わりのない話だ。そう思いながらも、頭の片隅に残る小さな引っかかりは、なかなか消えてくれなかった。


---


 放課後、昇降口に向かう途中、俺はふと視線を感じて振り返った。


 だが、そこには誰もいなかった。廊下の先、少し開いた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らしているだけだった。


(気のせいか)


 俺は小さく息をつくと、そのまま昇降口へと足を進めた。


 ――窓の外、少し離れた校舎の陰から、こちらを見つめる視線があったことに、俺はまだ気づいていなかった。


コメント・フォローよろしくお願いします


コメント・フォローがくると頑張れます^_^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。