第七章(中編・二)「蒼の帰り道」
莉世と別れた後、俺は一人、夕暮れの街を歩いていた。
(不器用、か)
莉世に言われた言葉が、頭の中で何度も反芻される。悪気はなかったのだろうが、妙に的を射ている気がして、思わず苦笑が漏れた。
人と関わることを、器用にこなせたことなど、これまで一度もなかった。ゲームの中でも、現実でも、俺はいつも一人で完結する方を選んできた。それが楽だったし、誰かに頼る必要も感じなかった。
だが――今日という日は、少し違った。
(悪くなかったな、今日は)
装備を選びながら交わした、他愛のない会話。莉世の真剣な横顔。柔らかく笑ったときの、あの表情。どれもが、今まで自分の日常になかったものだった。
スマホが小さく震え、通知が届く。莉世からのメッセージだった。
『今日はありがとう。また誘ってもいい?』
その短い一文に、俺は思わず足を止めた。
(また、か)
断る理由など、どこにもなかった。俺は少し考えてから、返信を打った。
『いつでも』
送信してから、自分らしくない一言だと、少し気恥ずかしくなった。だが、取り消す気にはならなかった。
夕焼けに染まる道を歩きながら、俺はフードの下で、小さく口元を緩めていた。
――こんな感情を持て余すのは、初めてのことだった。だが、悪い気分ではなかった。
コメント・フォローよろしくお願いします
コメント・フォローがくると頑張れます^_^




