第六章・第九話「悠斗と亜衣の通話」
メッセージを送ってすぐ、亜衣のスマホに着信が入った。悠斗からの通話だった。
「ねえ、莉世のことなんだけどって、どうした?」
「あ、うん。今日のカフェでさ、莉世の様子、なんか変じゃなかった?」
「変っていうか……ああ、蒼のこと気にしてた感じか」
「やっぱり悠斗くんもそう思った?」
「そりゃ気づくだろ、あんな分かりやすい態度されたら」
悠斗がからかうように笑う声が、電話越しに聞こえてくる。亜衣も思わずくすりと笑った。
「莉世、普段はもっとクールなのに。蒼くんのことになると、ちょっと変わるんだよね」
「蒼もまあ、口では素っ気ないこと言ってるけど、莉世のこと気にかけてるっぽいしな。今日だって、真っ先に莉世を庇ってたし」
「え、そうなの?」
「ダンジョンの中でな。危ないってなったら、真っ先に莉世の前に出てた」
亜衣はその話を聞いて、なんとなく納得したように頷いた。
「なんか、いい感じになりそうだね、あの二人」
「だな。まあ、俺らは静かに見守っとくか」
「うん。でも、たまにはちょっとくらい、背中押してあげてもいいかもね」
「おいおい、気が早いって」
悠斗が笑いながら言うのに、亜衣も声を立てて笑った。
「とりあえず、また今度みんなで遊ぼうって話、進めていい?」
「もちろん。俺からも莉世に声かけとくわ」
通話を終えた後、亜衣はしばらく、スマホの画面を眺めながら、小さな笑みを浮かべていた。
(莉世が誰かのこと気にするの、初めて見たかも)
その事実が、亜衣には何だか嬉しいことのように思えた。
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