第六章・第十話「変わり始めた日常」
翌日の教室は、いつも通りの喧騒に包まれていた。
「なあ蒼、今日も莉世たちと連絡取り合ってんの?」
悠斗が机に頬杖をつきながら、興味津々といった様子で尋ねてくる。
「別に、普通に連絡先を交換しただけだ」
「へー、素っ気ない割にはちゃんと交換すんだな」
「うるさい」
俺は短くそう返しながら、スマホの画面に目を落とした。グループチャットには、昨日の四人でのやり取りの続きが、ぽつぽつと残っている。
『次はいつダンジョン行く?』
悠斗のその一言に対して、莉世からの返信がついていた。
『次は、もう少し予習してから行きたい。悠斗くんと亜衣のジョブに合う立ち回り、考えとくから』
その几帳面な返信に、俺は思わず口元を緩めた。相変わらず、そっけない言葉選びではあるが――以前とは、何かが違う気がした。
「おい、笑ってんじゃねえか」
「笑ってない」
「絶対笑ってただろ、今」
悠斗がにやにやしながら肘で突いてくる。俺は面倒くさそうにそれを躱しながら、もう一度スマホの画面に目を落とした。
正体を明かしたあの日から、まだ一日しか経っていない。だが、確かに何かが変わり始めていた。
この日常が、この先どこへ向かっていくのか――俺にはまだ分からない。だが、少なくとも今は、悪くない変化だと、そう思えていた。
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