第六章・第三話「話す場所」
「なあ、こんな路地裏で立ち話もなんだしさ」
悠斗がその場の空気を変えるように、明るい声で言った。
「せっかくだし、どこかでちゃんと話聞かせろよ。蒼がラストクリアしたとか、正体隠してた理由とか」
「……別に、大した話じゃない」
「いいから。莉世も、聞きたいだろ?」
悠斗に水を向けられ、莉世が小さく頷く。俺は小さく息を吐いて、渋々ながら頷いた。
「分かった。近くに、知り合いがやってるカフェがある」
クロウを紹介してくれた、本条のカフェ。あそこなら、多少込み入った話をしても問題ないだろう。
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地上に出て、しばらく歩いた先にあるカフェの扉を開けると、カウンターの奥から本条が顔を上げた。
「お、蒼じゃないか。それに――随分賑やかな面子だな」
「少し、話す場所を借りたくて」
「構わないよ。奥の席、使いな」
本条は事情を察したように、それ以上は詮索せず、奥のテーブルへ案内してくれた。四人が席に着くと、悠斗が待ちきれないといった様子で身を乗り出す。
「で、蒼。ちゃんと聞かせてくれるんだよな?」
俺は小さく息を整えると、ゆっくりと口を開いた。
「三ヶ月前――俺が最後にクリアしたゲームは、『アステリズム・オンライン』だ」
その名前を聞いて、莉世の肩が僅かに揺れた。俺がプレイしていたゲームは、彼女自身も知っている、あの世界的人気タイトルだった。
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