第十四章・第十二話「決意の夜」
病院を出た後、俺たちは近くの公園で、今後の対応について話し合っていた。夜も更け、人気のない公園には、冷たい風だけが吹き抜けている。
「亜衣を襲わせたのは、間違いなく警告だ」
クロウが、重い口調で切り出した。
「俺たちが東雲の調査を進めてることへの、牽制のつもりだろう。これ以上嗅ぎ回るなら、次はもっと深刻な事態になる――そういうメッセージだ」
「俺たちは、このまま調査を止めるべきなんですか」
俺が尋ねると、クロウは首を振った。
「いや、止めれば、向こうの思う壺だ。ここで引けば、相手はいくらでもこちらを脅せると学習する」
「でも、これ以上、誰かが傷つくのは……」
「分かってる」
クロウが、俺の言葉を遮るように言った。
「だからこそ、今まで以上に、周りの人間の安全対策を強化する。同時に、調査も続ける。簡単なことじゃないが、やるしかない」
本条が、静かに言葉を続けた。
「東雲の正体に近づいてる以上、向こうも焦ってるはずだ。この警告は、裏を返せば、俺たちがそれだけ核心に近づいてる証拠でもある」
その言葉に、俺は小さく頷いた。恐怖と焦りの中にも、確かな希望の光が、微かに見えている気がした。
「澪や莉世にも、改めて警戒を呼びかけます」
「ああ、頼む」
クロウがそう言うと、立ち上がり、夜空を見上げた。
「これから、厳しい戦いになる。だが、お前は一人じゃない。俺たちも、全力で支える」
その言葉に、俺は静かに拳を握りしめた。
(絶対に、これ以上誰も傷つけさせない)
強い決意を胸に抱きながら、俺は夜空に瞬く星を見上げた。羽鳥との対立、そして見え始めた総帥の正体――戦いは、確実に、新たな局面へと突入しようとしていた。
この夜の決意を胸に、俺たちはそれぞれの場所へと、静かに散っていった。
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