《 閑話 》赤ずきんの日記
今日、ししょーがノートブックをくれた。
文字のれんしゅうするのに、日記をつけてみたら、だって。
だから、あきるまで、おばあちゃんのゴロクを書いていきたいと思います。
おばあちゃんはメジーさんで、ぼくを引き取ってくれた人のことだよ。
ぼくが言われたこと:
1. あんたねえ、あいてが笑ってるからって安心するんじゃないよ。
笑いながら人を食うやつだっているんだから
どういうイミだろう?
2. 雨がふったのも、エモノが逃げたのも、魔女さんが飯を食わないのも、ぜんぶあんたのせいじゃないよ
3. 足音がうるさい
4. 息をみだすんじゃない
5. 腹がへってる時にはんだんするんじゃない
6. とれなかったエモノを恨むんじゃない。次を見な
ししょーが言われてたこと :
1. ごはん食べてなかった
「魔女さん、また食べてないね?」
「食べました」
「なにを」
「にんじんを少々」
「それは食事じゃないよ」
「野菜ではあります」
「へりくつを言うんじゃない」
2. ねてなかった時。
「目の下が死人みたいだよ」
「魔女なので」
「べんりな言い訳だねえ。ねな」
3. おふろに入ってなかった時。
「魔女さん、あんた森のしめった葉っぱみたいなにおいがするよ」
「詩的ですね」
「ほめてないよ」
4. わるいことをした時。
「あんたが干からびようが木になろうがかってだけどね、
うちの孫の目の前でやるんじゃないよ」
師匠はよく、おばあちゃんにおこられている。ぼくより。
この前、師匠がおばあちゃんに「うるせーくそばばあ」って聞こえないように小さな声で言ってた。
「聞こえてるよ、だらしない魔女」
「じごく耳」
「年寄りは耳が遠いんじゃなかったのかい?」
「都合のいい耳ですね」
「都合よく生きてきたからね」
おばあちゃん、師匠のことがすきみたい。でも、それを教えてあげたら、師匠は目を大きくして、おもしろいじょうだん〜、って顔をくしゃくしゃにしてた。ほんとうのことなのに。
師匠のいえに行く時のルール :
- 日が暮れる前に帰ること
- 一人で危ない道は通らないこと
- ごはん食べてから行くこと
- 師匠が変なことをしたら言うこと
- 師匠がごはん食べてなかったら言うこと
このノート、こんなとこにあったんだ。
最近、「師匠、最後にまともなもの食べたのいつ?」って聞いたら、「赤ずきん、メジーさんに似てきたね」って顔を引き攣らせてて、思わず笑っちゃった。




