第八話 血は魔に 骨は絶望に では肉は?
無感情
人は誰しも三つ子の頃には百は持っている。
感情がないなど言っている者は承認欲求という感情で動いている。
だがその子は違った。
希望 願望 欲望 幸福 ありとあらゆる正の体験を生きている間経験出来ず、
絶望 苦痛 悲観 孤独 それらを受け、
それらしか知らなかった者には、
何が残る?
無だ
「…なんだアレ、肉の塊じゃねぇか」
「いや、人型の肉塊が正しいなアレ」
爆音と共にソレは目の前に一瞬のうちに来た。今まで何度か獄獣神相手にこんな場面は幾度も経験しているトシにとってはただの歓迎会だ。
とにかく相手との間合いを取りつつマントを変化させ槍のように刺突を仕掛ける。
筋繊維が裂かれ、崩れ落ちると中には誰かの腕があった。
「!おまえ、まさか!」
「喋る魔物、初めて見た」
声。
この世界に来てまともに声を聞いたのはこれで三体目。
だがなんだ。妙な気分だ。まるで前々から彼女のことを知っているかのような。
なんで俺はアイツを女だと?
「と、とりあえず話をs」
巨大な壁、否。
圧倒的な物量の肉の塊がトシの目の前に…
ベチュンッ!
腕はあらぬ方向に曲がり、全身から血が吹き出ながら遠くまで飛ばされていた。
雑巾のように、捨てられたおもちゃのように転げ回りながらなんとか地面に這いつくばる。
「ッ……腕戻すのクソ痛いんだよ…」
対話できるのにしようとしない。
あのおっさんみたいだ…
「だったら力ずくだ!」
両腕に大量の極細の骨を何百本と作り出し突進する。
案の定肉塊は攻撃を交わしフックをかまそうとする。
「魔物相手で大振りだなぁ!」
天から細い何かが落ち、両腕を切り落とす。
あらかじめ発射していた骨が読み通りの場所に落ちたのだ。
「ふぅ…で、
君は誰だ」
「………」
______???______
「すみませ〜ん。戻るのに時間かかりましたぁ」
「遅いぞ。せっかくお前の見立てを買って送り込んだんだ。収穫は?」
「いゃ〜それが人違いでしてぇ、でも中にあるってんだからそこら辺のそれっぽいやつ刺したんすけど、なかったわ。」
「珍しいわね。あなたの勘が外れるなんて。」
「重大な役目を与えてやったのに、全く…俺達の野望はなんだ?言ってみろイントゥー」
「支配、っすよねぇ〜大義のための」
聖騎士は、人の善悪に問わず強き者に宿る職。
では邪悪な犯罪者にも?
創剣(闇)所持者の聖騎士が一人
カンスケ
「俺達は真実を知っている。世界を支配する大義がある。俺達はなるべくしてなった存在だ」
「イントゥー。あんた調子悪かったの?」
「そうだなぁ。今回ばかりは俺の勘は当たらなかったなぁ…」
「落ち込むほどでもないよ。ワタシを見習いなさい。数多の男に振られても私は元気ピンピンよ?」
「おめぇはイカレ女なだけだ。さっさと帰れ」
にしてもあのガキ…
いや、気のせいか。




