第五話 何故勝てなかった?勇者よ
「ついにここまで来たぞ。魔王!」
「?
あぁお前があの勇者か。どんなやつかと思えば…なるほど。
姿たたずまいから見ても勇者と言えるな。」
魔王城、玉座前
黒の雷が轟魔王の顔に影を落とし、瞳はその影よりも暗い闇だった。
「御託はいい、お前を倒し、世界に平穏を与えるのが俺の使命だ!」
聖剣は眩く光り輝き剣先が光線のように伸び、魔王の心臓目掛けて突きを入れるも、怪しく 光るナニカに塞がれてしまう。
「!」
「おい、お前がでしゃばるほどの相手ではなかろう。」
「魔王様を戦わせるわけにはいきません。
それに今四天王は勇者の仲間と対峙中、私にやらせていただきたい。」
聖剣を弾くだと?アイツ、何者だ
その者は勇者を見るなり目を見開き圧倒的な威圧感を放った。
今までに遭遇した魔物達の怨念が入り混じったような、ドス黒い圧があった。
「よせ。俺がアイツを倒すのだ。」
「…失礼しました。」
「おい魔王。俺は勇者だぞ」
「雑魚ども連れてまとめて来い!」
パチン
魔王が指を弾くと天井に扉が現れ、そこから無数の魔物が現れた。
ゴブリン スライム オーク サラマンダー
ありとあらゆる魔物達が現れた。
「神の裁きを受けよ!」
エクスカリバー
力強く横に薙ぎ払うと闇の塵と化して消え去ってしまう。
遅れてきた魔物やドラゴンは雄叫びを上げながら迫りゆく。
「無駄だ魔王!」
「おまえは甘いな勇者よ。」
スライムの中から突然現れた魔王は漆黒の爪で勇者の横腹を射抜く。
だが勇者は瞬間的に避け掠め取られる程度。
「グッ…!」
「戦いは数だぞ勇者。そんなことも分からないとは、愚者だな。」
「愚者はおまえだ…」
バン!
「勇者!」
「オレが来たッ!」
「み、みんな一緒です…!」
「あの者が魔王か、年寄りには荷が重いぞい」
「みんな!行くぞ!」
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「魔王様!どこですか魔王様!」
「何をしてる!早くコイツの魂を!」
俺は諦めん…諦めてたまるか…!
勇者さん、すみませんがあなたの命は私がもらいます。
手を伸ばし、勇者の体から光が漏れ出しその者に吸い取られて行く。ただ光はノイズのようなものが走りながら止まろうとしている。
「神に認められし者、さすがですね。」
「何感心している。さっさと取り込め」
はい。魔王様
勇者よ、死んでしまうとは情けない
そして魔王。
お主は私を怒らせた。
暗黒の雲から伸びるあまりにも眩い光が魔物達の存在を消し炭にし、空から光りの刃が魔王城を粉々に粉砕し始めた。
「魔王様!「構うな!お前は何がなんでも勇者の魂は渡すな!」
「しかし…」
「これは命令だ!」
お主の前にいるのは神
絶対だ
それは見えた。あまりにも巨大で、まだ世界は不完全な文明の時、地平線の彼方からでも見えるそれは。
光の拳
鉄槌が下されたにしては穏やかすぎる草原。
黒いマントが影を落とすと草花はすぐに枯れてしまうほど健気な植物達。
邪悪な血に濡れた花は黒く染まるほど純粋な。
「ぐぅ…神め…貴様ぁ…」
カタ
「ぅおああああああぁ!」
エクスカリバー!
お主がそれを使うなど
大罪よ
人に見られてはならなモノ。モノというには勿体無いほどの産物。目の前にあれば誰もが欲し
誰もが譲らず、誰もが力を得る。
聖剣…
否。神の"モノ"
魔王は聖剣を振るう。神の指に。
聖剣は砕かれ遥か彼方に散り、目の前には
どんな宝石よりも輝いている。
血




