第四話 いっそ死んだ方がマシだ
ドロドロの黒いものは、地面の土と砂を含み、たとえ何も飲まず食わずであと少ししたら死ぬような人ですらそんなものを啜ろうとはしない
だが俺はそれを啜らざるを得ないのだ。
黒い馬に腕を粉々にされ、また出血多量で死ぬ前に、食らわなくては
酷く不味かった。卵の殻をすりつぶし、紙と粘土を混ぜたようなソレすらも食らわなくてはならなかった。
「ぅ…」ごくん…
読み通り、腕は再生していた。だが痛みが消えたわけではない。
さっきからルバルが返事をしない。食べられた存在と会話できるのがアイツの力かと思っていたが…違ったのか?
「ふぅ…ていうかどうしよう。こんな砂漠で」
辺りを見渡してもひび割れ地面、不自然に盛り上がって掲載されている大穴。申し訳程度の木
「ここにいても何も変わらない…はぁ、コレじゃ強制的に冒険者だな。」
2度もの戦闘の影響で服はズタズタになりその見た目はさながら200X年で暮らしていそうなスタイルに…
そして改めて、あの時は必死だったがやっぱり気のせいじゃなかったことが一つ。
「力を使うとめっちゃ痛い…体から無理矢理骨伸ばしてるからだろうな。」
もっと融通が効く能力にしてくれませんかね神様…
_______ディッセンバ宮殿、ハヤト部屋_______
「魔王の死骸が悪さしてるからどうにかして欲しい…か」
自分のあるはずのない右手を眺めながらそんなことを考えている。
断面を見てもまるで元々なかったかのように先端は丸くなっていた。
コンコン
ハヤト様、リュウ様がお呼びです。
「リュウさん、なんでしょうか」
「少し教え忘れたことがあってね。座って」
「俺たちは転生者だ。それは大前提そうだね」
「えぇ」
「この世界はゲームではない。だが転生者のみ、オリジナルに力とは別で自身のステータスが見れる。試しに念じてみるんだ」
ステータス?
ピュッ
_ハヤト_
聖騎士lv.1
「聖騎士…」
「すごいな、聖騎士はこの世界には六人しか存在できない職だ。俺の場合は大賢者だな。勇者も聖騎士の職だったと聞く。」
「じゃあ俺、聖剣を使えるのか?」
「いや、勇者が使った聖剣は六つに別れ、今は創剣として世界のどこかに刺さっている。そしてその創剣達は、持ち主を選ぶ。」
「達?」
「彼らは勇者の未練も取り込んでいる。我を握るに相応しいか、魔王を完全に消してくれ。
ってな。」
「色々長くなってしまったが、本来の目的はこっちだ。」
そう言ってかけてあったローブを取り払うと、そこには黄色に光る丸い石が置かれていた。
「これは?」
「神の涙だよ。この世界が創られた時、神が愛していた別の神がその時大罪を犯し、消されてしまった時の涙。神の感情がこもった力は選ばれし人間にしか扱えないという神話を産んだ」
君はこの力を取る覚悟はあるか?
〜〜〜〜〜〜〜〜
あれから何十分歩いた?
突然紫の煙が蔓延したり、雷が落ちたり、
地割れが起きたと思ったらそこから大量の虫が出たり…
幾度歩いても全く着く気配がない。
そもそも彼はなんのために歩いている。
なんで意地汚く生きようとしている。
そもそもそんなことまでして生きる必要があるのか?
「いっそ…」
「いっそ死んだ方がマシかな…」
痛み、悲しみ、無限に広がる砂漠、誰もいない。孤独な場所に生まれ落ちたのを恨むしかなかった。
近くの人が入れるほどの大きさの穴に入り、深く考えていた。
なんで俺はここにいる?なんで俺はこんな目に遭っている?なんで俺は生きている?なんで俺は苦しんでいる?
もう死んでいいよ
あの男のせいだ
あいつがいなければ、俺はずっと幸せのまま死ねたのに…あいつがいなければ、ハヤトは死なずにすんだのに、あいつがいなければ!
殺す。あいつを見つけて殺すまで、死ねない。




