寄り道したり、立ち止まったり
「では、アリエルさん。行ってきます」
明朝、家の前で大きめのリュックサックを背負ったホイップが見送りに来たアリエルに声をかける。ホイップの後ろで騒ぐライとムギに巻き込まれるシオンを見て、アリエルがクスクスと笑う
「行ってらっしゃい。ライ、ムギ。ちゃんとホイップの言うこと聞いてね」
「もちろんです。ねっ、ライ」
「そうだね。大丈夫だよね」
シオンの前に立ち、見つめ合いながらアリエルに返事をするライとムギ。それを見たホイップが困ったようにため息をつく
「二人がそう言うほど心配だわ……」
そう呟くホイップを知る目に、シオンを巻き込み楽しそうに話す二人。アリエルもライとムギを見てクスクスと笑っていると、明るいテンションについていけないシオンが困った顔でアリエルを見た
「シオンさん、気をつけてね。何かあれば街の人達を頼ると良いわ。みんな良い人達だから」
「……はい」
アリエルにか細い声で返事をすると、ホイップがシオンの右手をぎゅっとつかんだ。シオンがその右手を見ると、ホイップがにこりと微笑んだ
「はぐれたら私達の名前を呼んでくださいね。すぐに魔術で駆けつけます」
そうホイップが言うと、ライとムギもシオンの左手をつかむ。急に捕まれたシオンが驚いた表情で二人を見ると、シオンの右手を半分こでつかんでいる二人が微笑んでいた
「私達も探しますから、安心してくださいね」
「うん、ありがとう」
返事をしながら三人につかまれた両手を握り返と、ライとムギがシオンの左手を引っ張ると、シオンの右手をつかんでいたホイップも一緒に引っ張られ、玄関にいたアリエルから離れていく
「アリエルさん。行ってきます」
ホイップが空いている右手をアリエルに向けて振る。クスクスと笑いながらアリエルもホイップやシオン達に向けて手を振り見送ると、洗濯かごに残っていた洗濯物を干しに洗濯かごを持ちベランダに向かった
「ねえ、ライ。そういえば、あっちに果実あったよね」
「あったけど、まだ食べられないって言ってたよ」
「そうなんだ。つまんないの」
家から出て数分後、歩くのに少し飽きたライとムギがおしゃべりをしたり、寄り道で近くにある木でかくれんぼをしている。ホイップは二人がはぐれないように見守りながら先に進むその隣では、シオンが空を見上げていた
「どうしましたか?」
ホイップが足を止めシオンに問いかける。ちょうど寄り道から戻ってきていたライとムギも手を繋いで、少しホイップよりも歩いたシオンを見る
「何か思い出したの?」
今度はムギがシオンに話しかける。その言葉に返事をするようにシオンがゆっくりと顔を横に振る
「なんにも……。ただ、ここは良いところだなって」
「そうですね。私もここがとても大好きです」
「そうだねー。アリエルさんもホイップもいるし私も一緒。とても大好き」
そうライとムギが言うと、また二人手を繋ぎホイップとシオンを抜いて走り出す。すぐに二人の姿が遠くなり、追いかけるようにホイップも走り出し、立ち止まっているシオンを駆け抜ける。三人の声を聞きながらシオンも後を追いかける。しばらく走っていたライとムギが足を止め、追いかけてくるホイップやシオンに向けて手を振る。先にホイップが二人の元に着き、少し遅れてシオンが着く。三人が見つめる先に目線を向けると、人々や建物が多く栄えた街が見えた
「シオンさん、着きましたよ。ここが一番近い村のルノート村です。暗くなる前に買い物に行きましょう」




