静かな夜に
「ムギ、勝手に行かないで」
「それはライが見つけたお菓子だよ。ムギ」
スヤスヤと眠る二人の寝言が二階にある静かな寝室に聞こえる。寝室の窓を開け、窓辺に椅子を持ってきて、夜風に当たっていたシオンが二人が眠るベッドに目線を向ける。二人に挟まれ眠るホイップが寝返りを打つ。眠る三人の様子を見た後、ゆっくりと三人を起こさないように窓を閉め、椅子から立ち上がり、眠ろうとベッドに移動しようとした時、ちょうど様子を見に来ていたアリエルと目があった。シオンが布団を持ったまま、動かないでいると、アリエルにクスクスと微笑みながら手を招いた
「眠れないの?」
寝室から出て、階段を下りながらアリエルが後ろを歩くシオンに問いかける。二人が歩く階段の軋む音が聞きながらシオンがゆっくりと頷く
「……はい、そうですね。」
「そう。きっと、見つけた時もここに来た時も眠っていたからね」
フフッと笑うと、電気がついたままのリビングについた。シオンに椅子に座るように伝え、アリエルはキッチンの方に向かっていく。食器棚からコップを取り出すのを見ながら椅子に座る。テキパキとお茶を用意するアリエルをボーッと見ていると、いつの間にかテーブルの上に数種類のお菓子が乗ったお皿が置かれていた
「おやつって言ったら、ライとムギが起きてしまうからね」
シオンの前に温かいお茶が入ったコップを置く。アリエルがシオンの前に座り、ふぅ。とお茶に息をかけゆっくり飲んだ
「あの、ここは?」
お茶やお菓子に手をつける前に、今度はシオンがアリエルに問いかける。その質問を聞いたアリエルは、持っていたコップをテーブルに置き、カーテンで閉ざされた窓の方を見た
「教えてあげても良いけれど、どうせなら日が開けてからホイップ達と近くの街を歩きながら聞くと良いわ」
そう答えると、廊下の方からカタンと物音が聞こえ二人が振り向くと、二階の寝室で寝ていたはずのホイップが険しい顔で立っていた
「あら、噂をすれば来たのね。どうしたの?」
「アリエルさん。夜中におやつはダメですよ。魔力に影響でちゃいますよ」
「そうね。ちょうど片付けようとしていたところよ」
怒ってリビングに入るホイップに謝りながら椅子から立ち上がる。コップと自分用に用意していたお菓子が置かれたお皿を片付けようと持った時、ホイップがお菓子が置かれたお皿をつかんだ
「おやつは私が代わりにいただきます」
「仕方ないわね」
嬉しそうにお皿をテーブルに置き直すホイップを見て、困ったようにため息をつき、二人の会話を聞いていたシオンに目線を向けた
「ごめんなさい。先に寝るわね」
「ああ、はい……」
アリエルと入れ替わるようにホイップがシオンの向かいの席に座る。アリエルから貰ったお皿の上にある沢山のお菓子を選んでいると、シオンが用意されていたお皿を差し出した
「私の分もどうぞ」
「えっ、食べないのですか?」
「うん、今お腹空いていないから」
そう言うと、少し冷えてしまったお茶を飲む。ホイップが目の前にある二つのお皿を見比べる。しばらくお皿を見つめた後、椅子から立ち上がり、シオンのお皿を持った
「ではこれは、ライとムギの朝御飯後のおやつにしましょう。おやつがあれば二人は喜びますからね」




