現れた光の中で
シオンとカナメから別れ、家のある方に向かっていたアリエル。少し走り疲れ、草むらに隠れるように道から逸れ、はぁ。と一つ深呼吸をして、持っている魔術書を見つめた
「ホイップ、出てこれる?」
アリエルが魔術書を見ながら呟く。すると、魔術書がアリエルの手から離れるように独りでに浮かんで少し離れる。アリエルが魔術書の動きを見ていると、そよ風に誘われるように、ページがパラパラとめくられていく。パタンと魔術書が閉じると、魔術書の前に、目を閉じうつ向くホイップが現れた
「ライとムギは?」
「シオンを見ないように私が眠らせています」
「そう。ありがとう」
二人が話していると、ホイップの背後にあった魔術書がアリエルの元に飛んで行く。魔術書を取ったアリエルが表紙を見ると、少女が三人書かれていたはずの魔術書は一人減り二人の少女が目を閉じ向かい合っていた
「ホイップも記憶が戻ったのね」
「はい。でも私は……」
「ずっと言わなくてごめんなさい」
「いえ、大丈夫です……」
ホイップがアリエルに返事をすると、アリエルの背後を見るように少し体を傾かせる。アリエルも少し振り向いて、走って来た方に目線を向ける
「どうしたの?なにかある?」
「いえ。ただ、シオンに呼ばれています……」
「……そう」
ホイップの言葉にアリエルが振り向いたまま答えると、ホイップがゆっくりと目を閉じ、深呼吸をした
「ライ、ムギ。起きて」
ホイップがそう呟くと、アリエルが持っている魔術書が再び独りでに浮かんでホイップとアリエルの間に止まる
「ライ、ムギ。出てきなさい」
そうアリエルが言うと、ユラユラ揺れていた魔術書が突然光を放ち、二人が少し目を細める。すぐに消えた光に一瞬二つの影が見えた
「アリエルさん、ホイップ……」
「なんとなく分かる?」
ホイップとアリエルの間に現れたライとムギに、ホイップが、にこりと微笑み二人に質問をする。二人が顔を見合わせた後、ゆっくりと頷き、それを見たホイップが二人をぎゅっと抱きしめる
「私はシオンの所に行くから、二人はアリエルさんをちゃんと使い魔として守ってね」
「うん……でも……」
「ちょっとシオンが落ち着いたら、一緒にまたおやつ食べよう」
「うん……」
ぎゅっと抱きしめ合う三人。アリエルも手を広げ三人を抱きしめる
「また後でね」
そうホイップが言うと、ふわりと空を飛んでシオンの元へと飛んでいった
一方、アリエルがシオンとカナメから離れて数分後、シオンが地面に倒れているカナメをニコニコと笑って見ていた。月明かりの逆光に見えるシオンの顔を見たカナメが僅かに唇を噛む。ふと、カナメがアリエルが走っていた方に目線を向け、嬉しそうにまた笑った
「やっとホイップが起きたのね。ちょうどホイップのために魔力を得られたから良かった」




