気配を打ち消して
「あら、ホイップ。帰ってくるのが遅かったわね」
アリエルやライとムギから別れ、シオンとカナメがいる場所に戻ってきたホイップをシオンが嬉しそうに笑って話しかける。その笑顔にホイップが戸惑いながらも、シオンの足下を見ると、草むらの中でカナメが目を閉じ倒れていた
「シオン、何しているの?」
ホイップが恐る恐る問いかけると、ホイップが見つめる目線の先にシオンも見ると、細目で睨むように見ていたカナメと目線があった
「ホイップのためにカナメから魔力を奪おうかなって。ホイップの記憶も戻ってきたし、魔力のためにも、その方が良いでしょ?」
「私のため……」
「そう。私だって今すぐじゃホイップを守れるほど魔力はないの。だから、ね」
「シオン、ちょっと待って……」
ホイップがシオンに駆け寄ろうとした時、倒れていたカナメが立ち上がり、シオンに向けて手を伸ばした
「危ないなぁ……。何かするなら一言言って」
手を伸ばす前に、ホイップの背後に移動したシオンが困ったように言う。突然、背後から聞こえた声に驚いたホイップが振り向き、カナメは睨みながら舌打ちを打つ
「気づいていたでしょ?別に言わなくてもいいじゃん」
「そうだね。じゃあ、カナメは言わなくてもいいよ。魔力の気配が一番分かりやすいから」
シオンがそう笑って言うと、ホイップの背後から隣に移動した
「ホイップ」
「はっ、はいっ!」
ぎゅっと声をかけられ驚いたホイップが思わず大声で返事をした
「良い返事、素敵ねホイップ」
シオンがそう言いながら、ホイップの前に一冊の本を差し出す。ホイップが恐る恐るその本を受け取るのを見た、カナメがゆっくりと二人の元へと歩き出す
「シオン、この本は……?」
「カナメの魔術書よ。ホイップならすぐに魔術を会得できるでしょ?アリエルが来る前に、読み終えていてね」




