心弾ませる吐息
「デートねぇ……。それは今じゃないといけないの?」
「二人の魔術書を書くためには素敵な思い出が必要でしょ?失くした記憶を少しでも新しく埋めておかないとね。せっかくの誘いに断るの?」
「断れるならそうしたいかな」
シオンがクスクスと笑って話し、カナメは困ったように返事をしていると、アリエルが持っている魔術書の表紙を撫でる。すると突然、カナメがアリエルの腕をグイッと引っ張って体を寄せた
「とりあえず私はシオンの言う通り、デートのお誘いに乗るから、その間に白い子と双子ちゃんをどうにか呼んでみてよ」
「……わかった。気をつけて」
二人顔を見合わせ一緒に頷いて、カナメはシオンに近づき、アリエルは、二人から離れるように魔術書を抱きしめ来た方へと走っていく。暗闇に消えていくアリエルの後ろ姿を見てシオンが寂しそうな顔をする
「二手に別れるの?つまんないの」
「シオンのデート相手は私が良いでしょ?あの日の続きでもどう?」
いつの間にかシオンの背後に来ていたカナメが耳元で呟く。シオンは驚きもせず、頬に触れるカナメの震える吐息に心弾ませながら、カナメの頬にそっと手を添えた
「そうね。カナメだけになったのは寂しいけれど、今日はそれで許してあげる」




