私達だけの時を
「シオンが私達の魔術書を書いてくれるのは嬉しいけれど、それは私達は読めるの?」
「それはあなた達の魔力次第ね」
「私達はシオンより魔力も魔術の技術もないから困ったね、ねぇアリエル」
「ええ、そうね……」
カナメの話しにアリエルが、魔術書を見ながら、か細い声で返事をする。それを見たカナメが、はぁ。とため息つきながら魔術書を指差す
「魔術書を持っているなら、双子ちゃん呼べるでしょ?さっさと呼んでよ」
「ホイップが二人を守っている。ホイップの魔力が強くて二人を呼べない」
「シオンが戻っちゃったからね。仕方ないか」
「……お喋りは一旦終わりでもいい?」
アリエルとカナメの会話にシオンがにこり微笑んで止める。二人が慌ててシオンを見ると、シオンの髪がユラユラと揺れている。それを見たカナメがアリエルの腕をつかみ、さっき開けた窓から二人一緒に外へ飛び出し、夜空を飛ぶ
「面倒……」
月明かりに見える二人の後ろ姿を見て、すぐに追いかけることなくシオンが呟く。その間にカナメはアリエルの手をつかんだまま、シオンのいる家から遠く離れていく。カナメの家があるルノート村から見えていた光も見えなくなると、地面にゆっくりと降りて、つかんでいたアリエルの手を離し、ふぅ。一息つく
「ちょっとどうにかアリエルも手伝えないの?」
「……無理そう。せめてホイップが離れてくれないと」
アリエルが魔術書を見つめながら答えると、木々の隙間から二人を追いかけてくる影が見えた
「もう追いついたの」
近づいてくるカナメが声をかけると、シオンがにこりと微笑む。草むらを歩く足音を立てながら一歩ずつ二人に近づいていく
「ホイップ、帰っておいで」
シオンがアリエルが持つ魔術書に向けて呼びかける。カナメとアリエルが魔術書の表紙を見つめ、ホイップが
現れるのを待ってみるが、ホイップやライとムギの姿は三人の前には現れず、シオンが困ったようにため息をつく
「二人を守りたいのね。仕方ないわ」
また一歩、アリエルとカナメに近づきながら魔術書に向けて呟く。少しずつ見えてくるシオンの笑みを見て、アリエルが魔術書をぎゅっと抱きしめる
「まあその方がアリエルは魔術を使えないし。三人だけの良いデートが出来そうね」




