心を誘う指先
「白い子は戻すのはわかるけれど、双子ちゃんまで魔術書にいれれたの?さすがだねー」
魔術書の表紙に書かれた三人の少女を撫でるシオンを見てカナメがクスクスと笑う。アリエルは、ほんのすこしシオンに近づき、手を差し出す
「ライとムギはあなたには関係ないでしょ?戻してあげて」
「今は嫌。三人の話の邪魔になるでしょ?」
アリエルの話しに返事をしながら、シオンがはぁ。とため息をつき、手に持つ魔術書をパッと手放す。アリエルが魔術書を拾おうと慌てて駆け寄るが、魔術書は床に落ちる寸前に、ふわりと浮かんでシオンの周りを飛び回る
「優しくしてくれたから、カナメみたいに嫌なことはしないわよ」
「シオンって、ほんと嫌な奴。嫌な魔女って感じ」
アリエルの様子にクスっと不敵に笑うシオンを見て、カナメが呆れたようにため息をつき、テーブルを挟んだ向かいでうつ向くアリエルを見て、もう一度はぁ。とため息をついた
「助けなきゃ、記憶も魔力も戻らなかったのに……」
「あなただって、家の近くで放っておくのも悪いのよ」
「えー、私のせいなの?それはひどくない?」
と、アリエルとカナメが話していると、シオンの周りに浮かんでいた一冊の魔術書がパラパラとめくりだす。二人がシオンに目線を向けると、開いたページを指でなぞる姿を見て、カナメが嬉しそうに笑う
「あーあ、シオンがいない生活がもう終わりなんて……」
シオンから離れるようにゆっくりと後退りする。アリエルも少しずつシオンから離れ、カナメに近づく。二人の距離が小声で話しても聞こえるほど近くなった時、魔術書を見ていたシオンが魔術書をパタンと閉じた。アリエルがカナメに更に近づいて、耳元でヒソヒソと話しかける
「カナメ、どうするの?」
「そりゃあもちろん、シオンには魔力を私に譲ってもらわないとね」




