わたしに合わせて
「どうして私はダメなの?」
カナメの会話に突然、ホイップやアリエルとは違う声がキッチンに響く。三人が一斉にキッチンの入り口に目線を向けると、二階にいたはずのシオンが入り口に立っていた
「あら、シオン。久しぶりね」
「どうして……」
「その質問に私は答えられないわ」
カナメがシオンの質問にクスクスと笑って答える。急にキッチンに不穏な空気が流れ、テーブルにおかずが入ったお皿を置こうとしていたホイップの手が止まる
「ホイップ」
「えっ、はい……」
「そろそろ片付けをしている二人が飽きて遊んでいるかもしれないわ。ちょっと様子を見てきてくれる?」
「わかりました……」
そっとテーブルにお皿を置き、シオンの横を取りシッチンを出る。静かな一階に、ホイップがパタパタと早足で階段をかけ登る足音が聞こえてくる。シオンが去っていくホイップの姿を見ていると、カナメがさっきホイップがテーブルに置いたおかずを隣の席の前に置いた
「一緒に食べる?」
カナメの声にシオンがテーブルを見る。書庫で倒れる前に用意していた食事よりも少し増えているのを見て、キッチンのなかを見渡す
「いらないの?自分で作ったんでしょ?私に合わせて」
「あなたに合わせて?」
カナメの話にシオンが聞き返す。二人の会話を黙って聞いていたアリエルがクスッと笑って、スープをスプーンですくって飲む。シオンがその様子を見て、カナメはアリエルにつられて同じようにクスッと笑う
「そう。このスープは唯一魔術以外で、あなたが私に教えてくれたものよ。それさえ忘れるなんて嬉しいわ」




