少し手を止めて
「この本ってどこに置いたら良いのかな?」
ライと一緒に書庫の片付けをしているムギが少し離れて床に落ちている魔術書を拾うライに声をかける。ライが手を止める。少し振り返り両手いっぱいに魔術書を持っているムギを一瞬見た後、また片付けをはじめる
「……さぁ。適当に置いたら良いんじゃない?」
「えー。それじゃあアリエルさんに怒られない?」
「魔術で探させば良いから大丈夫だよ」
「ああ、そっか……」
ライに返事をして、近くにある本棚に持っている魔術書を一冊ずつ入れていく。ライとムギ二人しかいない書庫が再びしんと静かになる。持っていた魔術書を書庫に入れ終えたムギが、ふぅ。と一呼吸した後、別の本棚に魔術書を入れるライを見る
「そういえば、アリエルさん、どこにいったのかな?」
「さぁ。わかんないけれど、さっきの人と、ご飯食べているんじゃないかな?」
「ああ、そっか……」
ムギと話している間に少し周辺を片付けたライもふぅ。と一つ深呼吸をすると、休憩のため、二人一緒に窓辺にある椅子に座る。床に散らばる魔術書を見て、まだまだ片付けが終わりそうにないのを見て、ムギが椅子に深く座った
「ねぇ、本当にこの魔術書に、シオンさんの魔術が書いてあるのかな?」
「どうだろう。でも、本当なのかもね」
「ホイップもここにある魔術書使って魔術使っていたよ」
「それは、ホイップだから出来たのかも」
「そっか。それはそうかも」
空気の入れ換えのために開けっ放しにしていた窓から入る夜風に当たりながら、片付けを忘れお喋りを続ける二人。その会話を止めるようにムギのお腹が、ぐぅ。と鳴った
「お腹空いたね」
「そうだね、早く片付けてご飯食べよう」
「お片付け終わったら、シオンさん、起こしちゃう?」
「それまでには起きるんじゃないかな?たぶん」
ライがムギの質問に答えると、椅子から立ち上がり足元にあった魔術書を一冊手に取った
ライとムギが書庫の片付けをはじめてすぐ、寝室に一人眠っていたシオンが目を覚ました。ゆっくり体を起こし、辺りを見渡す
「私、確か書庫にいたはず……」
そう一人呟いて、再び寝室を見渡し、被っている布団を見る。ふと視界に両手が入り、ゆっくりと手を開いたり閉じたりを繰り返した
「あの本に書かれていたのは私の魔術……。私の記憶もあの書庫にあるはず」




