目覚めぬ理由
突然現れた見知らぬ女性にシオンを起こそうとしていたホイップやライとムギの手が止まり、椅子に座るカナメを戸惑った様子でじっと見つめる
「えっと、アリエルさん、この人は?」
ホイップがカナメを見ながら恐る恐るアリエルに問いかける。ライとムギがお互いの手を取り合い、背後にいるアリエルの方に振り向く
「あらかわいい子達ね。はじめまして」
シオンを囲うよう三人に気づいたカナメが椅子から立ち上がり、ホイップ達に近づき三人の顔をじっと見つめる。三人はカナメと目線が合わないように顔を背けたり、少しうつ向いたりして、カナメがはぁ。とため息をつく
「ちょっと返事しないなんて、ちゃんと礼儀を教えているの?」
「窓から勝手に家に入ってくるあなたよりは、礼儀を知っているわよ」
「それはそうね。」
アリエルが言い返すと、カナメがフフッと笑いながら返事をする。仲良さげに話すカナメとアリエルをホイップが二人の顔を交互に見る
「あの……アリエルさん、シオンさんが……」
倒れたままのシオンの体を揺らしながらムギが恐る恐るアリエルに声をかけると、カナメが怪訝な顔でシオンを見る
「別にこのまま放っておいてもいいのよ。風邪引いても魔術で治せばいいし」
「でも、シオンさんは魔術使えないから」
「大丈夫だって。シオンなんてね、放っておけばいいの」
ライの言葉に少し強めに言い返す。その声に怯えたライとムギがぎゅっと体を抱きしめ合うと、ホイップが二人の体を抱きしめカナメを睨む。カナメが少し驚いた顔で三人を見た後、またクスクスと笑う
「あなたの使い魔は優しいのね。意外だわ」
「ちょっと私が優しくないみたいな言い方ね」
「あら、そうでしょ?だって……」
カナメが話の途中で、一緒に持ってきて机の上に置いていた魔術書を手に取る。倒れたままのシオンの近くにある本棚の側に来ると、魔術書を本棚に戻し、すぐ足元にある別の魔術書を手に取り、アリエルにその本を差し出した
「ここにある魔術書は全部シオンから奪い取った魔術だものね」




