眠りから覚めて
魔術書を読もうとしていたシオンを止めたアリエルが床に散らばる魔術書を見て、困ったようにため息をつくき、足元にある一冊の魔術書を取りパラパラとページをめくる
「あの……」
「困ったわ。カナメの努力が無駄になるわね」
シオンが何か言おうとしたのを遮り、魔術書をバタンと強めに閉じる。再び書庫の中を見渡し、シオンを見て、またはぁ。とため息をつく
「アリエルさん、どうしましたか?」
アリエルの背後から声が聞こえ振り向くと、騒ぎで目が覚めたホイップが目を擦りながら書庫の入り口前に立っていた。床に散らばる魔術書や書庫の中にシオンが居るのを見て一気に目が覚めたのか、アリエルとシオンを交互に見はじめる
「ライとムギは起きているの?」
「二人は寝ています。何かありましたか?」
「なにもないわ。それより夕御飯を食べましょう。二人を起こしてくれる?」
「わかりました……」
シオンを心配そうに見ながら答えると、寝室に戻っていくホイップを見届けた後、アリエルが振り向いてまだ戸惑っているシオンを見る
「あなたがここにいてはこの書庫によくないの。一緒に一階に降りましょ」
「でも片付けないと……」
「魔術書の片付けはホイップ達がするわ。だから……」
アリエルが話していると、シオンの足元にあった魔術書が一冊、ふわりと浮かんで二人の間に立ち止まり、ページがパラパラとめくられる
「魔術書が……」
散らばり落ちていた魔術書が次々に浮かんでシオンを囲うように浮かぶ。段々と魔術書に隠されていくシオンの姿にアリエルが歯を噛みしめていると、ライとムギを起こしたホイップが寝室から出てきた
「ホイップ」
名前を呼ばれた聞こえたホイップがまだ出てきていないライとムギを残しすぐに書庫に駆け寄る。ホイップがアリエルの背後に着き、書庫の中を見ると、魔術書に囲まれたシオンの姿が半分ほど見えなくなっていた
「ライとムギと魔術書を押さえて」
ホイップを追い掛け書庫まできたライとムギが、異変に気づき驚き戸惑う中、ホイップが二人の手を掴んで、三人一緒に書庫に入り、シオンを囲う魔術書を取ろうと
魔術書を引っ張る
「無理です!私達三人ではとても……」
ライとムギが一緒に一冊の魔術書をグイグイ引っ張ても、シオンの周りに浮かんだまま動くことなく止まり続ける。ホイップも魔術書を動かせず、更にシオンの周りに魔術書は集まり続けていくばかり。みかねたアリエルが書庫の中に一歩踏み入れた時、開けっぱなしの窓からふわりと風が入り、突然シオンが魔術書と共にバタンと床に倒れた
「…………よくここが分かったわね。絶対に来たくないって言っていたのに」
慌ててシオンに駆け寄り声をかけるホイップ達とは違い、アリエルが窓辺に置いていた椅子を見ながら話をする。ホイップが椅子の方に目線を向けると、カナメが椅子に座り、本をパタンと強めに閉じアリエルににこりと微笑んでいた
「ええ。この魔術書が教えてくれたのよ。感謝してよね」




